作品紹介

一緒にバンド組みませんか?
音楽、仲間、そして恋。彼女と出逢った日から世界は輝く――
ということで、現在進行形でゆずソフトの最新作をプレイしています。18禁ゲーム、それも日本語版を発売日に購入したのは、『white album2』とか『君と彼女と彼女の恋。』とか以来なので、もう10年以上ぶりですね。
思えば、ゆずソフトはなんとなく英語多読用としてプレイした『サノバウィッチ』があまりにも高クオリティ過ぎてハマってしまい、↓
その後、『RIDDLE JOKER』もプレイしています↓
さらに、STEAMのプレイリストにはまだ『千恋*万花 』も控えていたりします。
いやあ、最初は英語多読用に始めたはずなのに、ゆずソフト人気のあまりの高さに、SNS上の祭りに参加したいという気持ちが強くなってしまって、まだ翻訳版が出ていないにもかかわらず、買っちゃいましたね。『ライムライト・レモネードジャム』日本語版。
で、まだ1人目である恵凪ルートのプレイ中なので評価のしようはないのですが、過去作にも増して大ボリュームなので、とりあえず共通ルートだけ切り分けて感想を。
よくない点
どんな作品でも、良い点と悪い点がありますからね。両論併記はさせていただきます。良かった点は後から書くとして、まずは悪かった点を。
…と言っても、本作の共通ルートはバンドモノとして流石に相当高いクオリティで、ダメ出しする部分がほぼないんですよね。でも一応気になったところだけ書いておきます。
ネットネタが多すぎる
私はそれほどゆずソフトに詳しくないので(前作の天使騒々もプレイしていませんし、喫茶~とか、履修していない作品の方が多いくらい)普段の作品がどうなのかは知りませんが、本作はやたらとネットからのネタが多いように感じます。
私女なんですけど・・・? やら、
もしかするとそれはあなたの想像上の・・・ やら。
こういうの、人によっては没入感を妨げる要素になると思いますが、少数派なんですかね。私自身は気にしませんが、マイナスと取る人もいるだろうということで。
あと、他のことですがいちおうあげつらっておくと、誤字が少しだけありました。「表す」→「現す」とかその程度のもので、スクショも撮っていませんが、別の部分にも2か所くらいあったでしょうか。ほんとそれだけです。
他には、ダウンロード後の解凍方法がよくわかりませんでしたが、chatGPTに聞けば解決しました。これは私のスキルの問題ですね笑
おすすめな点
とまあ、気になる点はこれくらいにして、次は良かった点について書きましょう。こっちはたくさんあります。
楽曲へのこだわり
本作、バンドモノだけあって、楽曲へのこだわりが尋常ではないです。
実際、作品発売前にyoutubeでは先行でクオリティ高すぎな数曲が発表されていましたので、感じたことなどを。これらはぜひ一度聞いてほしいですね。
『放光酸化』 ― バンドを走らせる爆心地
耳馴染みの良いアップテンポな曲。初聴から、「これはライブ一発目にぶち込む曲だ」と直感させられるほどのエネルギーを放っていました。冒頭からギターリフが強烈に耳を掴み、全編を通してギターが前面に出るアレンジ。ドラムも激しく、さらにキーボードやサブボーカルの女子メンバーが加わる豪華なコーラスが厚みを増しています。聴いていて血が騒ぐ一曲に仕上がっています。
歌詞は「負けてもいいから動け!」と背中を叩くような力強さに満ちています。冷笑して立ち止まっている人間ではなく、挑んで転ぶ人間こそカッコいい――そんな価値観がストレートに表現されている。とある出来事で落ち込んでいたヒロインの1人、隠杏珠を奮い立たせるメッセージソングとしても読めますし、彼女のセリフをなぞるように四字熟語が多用されている点も見逃せません。
タイトル「放光酸化」にも、彼女のキャラクター、または彼女を応援する主人公の気持ちが反映されているように思えます。光を放つ=全力で輝く。そのうえで「酸化」という言葉をあえて使うのは、激しく活動する中で酸素を大量に取り込み、酸化するほど燃え尽きろというニュアンスでしょうか? 言葉遊びに見えて、実は曲のコンセプトを的確に捉えたタイトルなのかもしれません。
『幻灯花火』 ― 消えない残像と取り残された夏
こっちは、キーボード担当の嶌越月望をフィーチャーした楽曲です。発売前からYouTubeで公開されていたこともあり、透明感のあるキーボードが前面に出たメロディラインは、初めて耳にした時から夏の夜空を思わせる印象的な一曲でした。恵凪のボーカルから静かに始まり、限られた楽器で紡がれる一音一音は切なく、しかし徐々に抒情を増し、サビに入ると一気に楽器隊が爆発する、まるで打ち上げ花火のような構成は、美麗なMVと合わせて視聴することで、より感情を揺さぶってきます。控えめに言って名曲ですよ、これ。
歌詞は、終わってしまった夏を振り返りながら、それでも忘れたくない、消したくないという切実な祈りに満ちています。とりわけラストの「僕だけ残して終わらない夏」というフレーズは、強烈な余韻を残します。だって普通は「終わる」夏じゃないですか。
この矛盾には二つの解釈があるかな、と感じました。ひとつは、夏は過ぎ去ったけれど、記憶の中で消えずに続いている「終わらない夏」。もうひとつは、大切な人が去った後、自分だけが取り残されて夏に縛られ続けている「終わらない夏」。いずれも未練や孤独を映し出しながらも、鮮烈な残像を焼き付けています。
これはあくまでも私が感じた印象ですが、この「取り残される感覚」は、共通ルートで描かれた月望の姿と重なります。母の期待を背にピアノを続けてきた彼女は、長い時間をかけて音楽と向き合ってきたものの、その道に迷いを抱き、居場所を失いかけていました。だからこそ、花火の残像や「終わらない夏」というモチーフは、彼女の心情をそのまま映したかのように響きます。(まだ個別ルートやってないので、解釈違いのおそれはありますが💦)
ところで、この曲で一点だけ不思議なのは、なんでMVに莉々子が登場するんでしょう? 彼女は広報ではありますが、メンバーとして前面に出てはいないので、ここに入って来るのは不自然な気がしますが…。
『明け星』 ― 夜明けを告げるバンドの第一歩
『明け星』は、主人公が初めて本気で作り上げた楽曲で、体験版のクライマックスを飾る一曲です。共通ルートとしては中盤の初ライブシーンで演奏され、そのままタイトルコールに繋がる演出は、往年のゆずソフトらしいテンションの高まりを演出してくれました。プレイヤーとしても、まさに「これからが本番だ」と気持ちを昂らせられる瞬間です。
歌詞は夜明けを象徴する「明けの明星(あけぼし)」をモチーフに、迷いや不安を抱えながらも一歩を踏み出す決意を描いています。劇中で主人公が抱えていた「曲が作れない」という葛藤を突破した、その実感がストレートに表現されています。実際、バンドメンバーからは「暗い」とか「ネガティブ」とか「陰」とかと弄られながらも高評価ですし、プレイヤーとしてもここまでの主人公の苦しみがわかるだけに、胸に突き刺さる特別な曲に感じられるでしょう。
ライブの定番曲として後のシナリオでも語られていくことが示唆され、物語的にも、音楽的にも、作品全体を支える柱のような位置づけになっています。特別にどこかのパートかをフィーチャーしたものでもなく、全楽器が活躍する場面がある点も見逃せないですね。まさに本バンドのための一曲です。
あと、楽曲の構成にも気合が入っていますよね。フルで聴くと曲の終盤で一気に雰囲気が変わり、大サビでは暗いトンネルから抜け出て未来へと進むような解放感に包まれます。すっごいです。よくこんなに凝った曲作ったな…。
後半に向けて盛り上がるシナリオ
まあ、丁寧ですよね。本作。
私のプレイした過去2作(サノバとリドジョ)と比較すると、本作は超常現象が何も起きないので、非常に地味なんですよ。あくまでも等身大の高校生たちの青春模様を、バンドを通して描いているだけですから、大きな事件なんて起きようがありません。しかしながら、共通ルートでは短いながらもちゃんとヒロイン1人1人にスポットを当てる部分があって、それぞれの性格や抱えている問題、周りの環境なんかを丁寧に描くことで個別ルートの伏線になることをプレイヤーに示しつつ、いちおうの解決も共通ルート内で終わらせています。この辺りの筆運びは流石に安定感があります。
恵凪がなぜお嬢様学校から公立高校に転校してきたのか。なぜあの日無謀にもストリートライブに挑もうとしたのか。両親の離婚の原因は?
杏珠のクラスでの立ち位置は?本当に問題は解決したのか?
月望の母親との関係は?恵凪をわざわざ追いかけてきた理由は?
・・・などなど。
こういった個別の情報をきっちりとばら撒きキャラを描きながら、バンドの成功という大目標に向かってシナリオが収斂していく様は、見事です。同時に、主人公の成長描写も忘れないのも高ポイントですね。
個別ルートの出来については実際にプレイしてみなければどうなるかわかりませんが、少なくとも共通ルートの時点では、かなり高い評価です(※シナリオについては、あくまでキャラゲーとしては上質、ということであって、シナリオゲーとして見るなら特筆すべきことはないです)。
おすすめ度
おススメ度は、現段階では10段階で9です。
懸念点は、個別ルートがどうなるかですね。それによって全体の評価は大きく変動するでしょう。たぶんワンマンライブがバンドとしてのクライマックスになることが予想できるので、個別シナリオがそこに分離せず絡んでくるかどうかでしょうね。シナリオが地味なんだから、その分キャラクターの内面をどれだけ丹念に起伏をつけて描いてくれるかにかかっています。過去作と比べると、ライターさんの力量が一層問われるのではないでしょうか。
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まとめ
まだ共通ルート段階ですが、青春バンドモノとして良い出来だと感じます。
とりわけ、楽曲の素晴らしさが群を抜いています。シナリオも及第点以上。個別ルートが楽しみです。
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