作品紹介

本作は、↑『ここのつここのかここのいろ』の続編です。
必要英語力など
推奨英語力:TOEIC860~、英検準1級~
さて本作ですが、前作に引き続き日本発のノベルゲーの中ではかなり難しい部類です。日常シーンでチョイスされる単語や表現の中に、相当な頻度でネイティブのスラングが紛れているためです。
そのため、日本を含んだノンネイティブ圏で暮らしながら普通に英語を勉強をしてきた人にとっては、「単語は全部わかるのに意味が分からない」場面が続出するでしょう。ただ、場面からどういう流れなのか見失うことはないと思うので、そこは割り切って、どうしても気になる箇所以外はなんとなくで進めてしまうのもアリでしょう。
推定プレイ時間:20~25時間
本作は、4人いるヒロインのうちの1人にだけ焦点を当てた物語になっているため、それほど長いわけではありません。4人のルートを全て足し合わせると長編1作分になる、という感じでしょうか。
しかし、前作と比較すると明らかに分量が多く、読み終えるまでの時間は多めにかかると考えた方が良いです。
よくない点
どんな作品でも、良い点と悪い点がありますからね。両論併記はさせていただきます。良かった点は後から書くとして、まずは悪かった点を。
一部の立ち絵が酷い
ギャグシーンは良いのですが、シリアスシーンの立ち絵、どうにかならなかったんでしょうか。

↑シリアスなシーンでこの絵は…ワロてまうがな!
ぴったりハマる立ち絵がなかったというのが実際のところなのかもしれません。音楽もそうなのですが、本作はそれほどバリエーションが多くないんですよね。シナリオが良いだけに、このあたりはもう少し頑張ってほしかったところ。
翻訳はあいかわらず
あとですね、翻訳の質については前作と同様の問題点が残ったままです。訳出する以前に原文分析がテキトーなので、誤訳もあります。

↑これとか。日本語だと「小学校の中学年」って書いてるのに、英語版だとKakeruが「中学生」だと訳され、さらにSoraが小学校卒業間近とかいう余計なものまでわざわざくっつけています。
↑これもね。原文を適当に読んでいる、というか、読み違えているんですよ。おそらく日本人ではなく、日本語の堪能な英語圏のネイティブが翻訳しているからこういうことが起きるのでしょう。前作と同じ人物が担当しているものと思われます。
同じ訳者としては、どうしても気になります。
おすすめな点
はい、よくない点はこれくらいにして、次は良かった点について。
Soraのキャラがとんでもなく強い
これはもう、あまりにも語られつくしているので今さらですけども、本作のヒロインであるSoraのキャラクターは唯一無二と言って過言じゃありません。ギャルゲーとかラブコメ漫画・アニメとかでこれまでに何千何万という数のヒロインが登場してきたわけですが、多分Soraについては、類似キャラなんて存在しないんじゃないか、と思える程にその魅力が際立っています。
癖が強いので好き嫌いが出るのは仕方ないにしても、ネガティブ側の人にとっても、彼女の造形とテキストと声優さんの演技が凄まじい化学反応を起こしていることについては異論ないのではないかと思います。特に私のように実の妹がいるプレイヤーは、妹キャラを好きになるためのハードルがアホ高いんですが、そのハンデを差し引いたとしてもSoraは別格でした。

↑普段があまりにもふざけすぎているため、Soraが真剣になるシーンはギャップが凄い。
中盤までのウザ可愛いキャラから、後半のシリアスな流れに入りデレきった後のキャラまで、余すことなく楽しめます。
ところで終盤驚いたのですが、このルートではボスを倒した後も結構長めにシナリオが続きます。そしてそれは決して蛇足ではなく、KakeruとSoraとの関係構築はむしろそこからが本番。血のつながった兄妹でありながら、なぜ2人は禁忌を犯すことに帰着するのかを、最後まで丁寧に描いています。

私は何度も主張していますが、あえて18禁でゲームを作るのならば、そこには18禁にしなければならない理由が必要です。この点、Miyakoルートの場合は別に18禁シーンがあろうがなかろうがどっちでも良かったんですよね。それが入ることで別にシナリオの説得力が上がるわけでもないし、特段シーン内で2人の関係に変化が生まれるでもないし(それに、後者なら別にそのシーンはカットしても問題ないわけですし)。
しかし、このSoraルートについて言えば、行為のシーンは絶対に必要でした。実の兄妹なのにそういう関係になる以上、そこへ至る感情の運びだけでなく行為中の会話や互いの想いも極めて重要になることは当たり前なんですが…実際、蓋を開けてみればSora×Kakeruのシーンについては、それにとどまらないんですよね。この辺、プレイした人はよくわかっているかと。この枝に入る可能性は極めて珍しいという旨の発言がソフィーからあっのは、地味に説得力強化の材料になりますね。
また、本ルートはバッドエンドルートでも行為シーンがあり、そっちはそっちで重要です。こちらはハッピールートとは異なる理由でKakeruがSoraの体を受け入れることになりますが、2人の倒錯した感情と行為とはハッピールートのそれよりも背徳感が輪をかけて深く、18禁シーンでありながらプレイヤーの心を思いっきり抉ってきます。
あ、ちなみにSoraとのシーンは基本的に実用性ゼロです。ここまで徹底しているのは逆に凄いです笑
シナリオについては、前作と比べるとかなり進みましたね。新たな敵の組織が判明し、ボスらしき相手も現れ、一応の平穏も訪れ、最後には黒幕らしきキャラも顔を見せるという。
しかし、ここに来ていまだにKakeruのアーティファクトは謎のままです。もしかすると4作目まで開示されないのかもしれません。他にもまだまだ気になる部分がありますし、それでいて1作目のような肩透かし感もなく、バランスの良いシナリオだったと思います。
おすすめ度
おススメ度は、10段階で10です。この2作目単独での話です。
Soraが可愛すぎることと、後半の2人だけの世界の中での感情の機微が切なすぎること、そして「選択肢」を上手く利用したシナリオ作りが非常に綺麗だったことなど、完成度の高さが1作目とは段違いでした。
ネタバレ感想も、現時点では特に書きたいとは思わないのでなしで。
まとめ
シナリオが動いてきたなあ~という第2作目。
ルート単体で見ても、Kakeruがどういう選択肢を選ぶかによって枝が分岐することが前面に押し出されたルートであり、クライマックスに唯一の選択肢を用意したという構成は見事で、出来の良いシナリオだったと思います。

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