作品紹介
異世界転移モノノベルゲーです。ニューヨーク在住である大学生の主人公が図書館で勉強していたところ寝落ちしてしまい、気づけば剣と魔法の世界に飛ばされていた、というところから物語は始まります。
右も左もわからない世界で、ヒロインであるLeannaの助けを借りて冒険の日々を過ごしながら、仲間たちと親交を深め悪の組織との戦いに臨み・・・、その果てに主人公は自分の世界に帰れるのか? それとも仲間たちとこの世界に留まることになるのか?
そんな感じの、良くも悪くもよくある、笑いあり感動ありの王道ファンタジーです。シナリオ自体のレベルは正直、まあまとまってるかな?くらいの印象ですね~。
しかし一方で、イラストは美麗だし音楽も高クオリティ、主人公以外はサブキャラ含めて全員フルボイスという豪華さに加え、この大ボリュームで495円という破格の値段は、即決で購入を決めて良いレベルでしょう。
※私の購入した495円という金額は、セール価格だったようです。定価は1,980円。お気に入り登録だけしておいてセールを待ってから購入するのがお得ですね!
必要英語力など
推奨英語力:TOEIC900~、英検準1級~
単語レベルは、結構高いです。
ゲームプレイ開始時点の私の英語力は、TOEIC905点でした(英検は受験歴なしですが、語彙だけなら準1級はweblioで「合格安全圏」の判定)。しかし、その程度のレベルだと知らない単語が山ほど登場しますし、カナダのゲームだけあってネイティブ御用達のスラングもガンガン出てきます。そのため、プレイ開始から数週間くらいは、1画面に知らない単語が2つも3つも登場することがわりとよくありました。
数えてみたところ、最低でも、英検パス単1級(第4版)に登場する2100語のうち、10分の1くらいにあたる202個もの難単語がゲーム内で扱われていました。全選択肢を選んだわけではないですし、スルーしてしまった単語もあるでしょう。なんなら英検1級以上の単語もガンガン出てきてると思われるので、特に序盤はマジでキツイです💦
ただ、作者は明らかに日本のノベルゲーが大好きで、物語の進み方がベタなのと、イラストの助けがあることで、一般的な洋書と比較すれば、かなりシチュエーションを想像しやすいです。立ち絵は偉大だ。
そういうわけで、語彙レベルのわりにはとっつきやすい印象です。TOEICで900点取れたのなら、全然挑戦してみて良いのではないでしょうか。
以前プレイした"Doki Doki Literature Club!(DDLC)"と比べるとさすがに難しいです。DDLCをプレイしてみてイケそうなら、Crystallineに挑戦してみても良いかも。
#crystalline
— green cat (@kurukurukurage3) January 5, 2023
わかる、わかるぞ~!
プレイ前には見たこともなかった単語たちの意味が、今やもう手に取るようにわかる!
burrow
ignite
tranquility
rejuvenation
こいつら全部わかる! pic.twitter.com/eQkUfWmt8V
↑エンディング直前には、こんな感じで自分のレベルアップが実感できます!
推定プレイ時間:50~100時間
私の場合、2022年7月1日からプレイを開始し、true endに辿り着いたのは2023年1月5日でした。つまり、クリアまでに半年間もかかった計算になります。また一日のプレイ時間は1時間程度でしたが、プレイできない日もありましたし、TOEICS&W試験対策などで途中プレイを辞めていた時期もありましたので、実際のプレイ時間は80時間程度です。
色んな選択肢を試してみたり、辞書をたくさん引いたりする人ならもっとかかるでしょうし、逆なら50時間もあればクリアできるボリュームかと思います。ただ、全編フルボイスなのでぜひ声優さんの演技は楽しんでほしいです。侮るなかれ、みんなかなりレベル高いですよ!
よくない点
steamで「圧倒的に好評」評価なのを見ればわかるとおり、基本的に満足感の高いゲームです。良かった点は後でゆっくり語るとして、最初に良くなかった点について少しだけ書いておきますね。
"a"と"o"が紛らわしい
フォントのせいで、"a"と"o"を見間違えることが多かったです。知っている単語のはずなのに意味が取れないな?と思ったらaとoを誤認していたことも多いですし、知らない単語が出てきた場合は調べる際に時間のロスが出てしまうこともありました。
製作者の方に特にこだわりがないのであれば、ぜひ次作では別のフォントを使ってほしいところです。これについては読解に支障が出るレベルなので切にそう願います。
お××いが滅茶苦茶揺れる
これはむしろ良い点だとも言えますがw 揺れます。立ち絵が。1人を除いて・・・
↑その1人
友達に勧めたり、親と一緒にプレイしたりするなら気まずくなること間違いなしなので、一応注意喚起のために書いておきました。
マジで不自然なくらいに揺れるからなぁ。なんでこんな仕様にしたんだろ💦
ストーリーが強引
主に序盤、シナリオが強引なんですよね。
異世界転移した主人公とヒロインのLeannaとが出会って行動を共にすることになるのですが、行動を共にする理由も弱いし、一文無しの主人公に衣食住すべてを貢いでる状態になるのも「おいおい・・・」と思わざるを得ません。
またLeannaが主人公に好意を持つのも、特にきっかけがあったわけでもなく単なるご都合主義に見えますし、この辺りはもう少し丁寧な描写が欲しかったというのが正直な感想です。
おすすめな点
とまあ、よくない点はこれくらいにして、次は良かった点について。こっちはたくさんあります。
英検1級&Distinctionの単語・表現のオンパレード
上述したように、このゲームはそれなりの語彙力を求められます。英検1級レベルの単語もガンガン出てきますし、Distinctionに登場するスラングもガンガン出てきます。同じ表現と何度も何度も出会うことになるため、クリア時には必然的に語彙力は爆上がりしています。
あまりに難しい単語ばかり出てくると読み進めるのがツライ時もありますが、話の大筋はきっと誰でも理解できるので、わからない部分は飛ばし読みしてしまって構わないでしょう。とにかく、これだけのボリュームのゲームを1本クリアしたことが自信にもつながるはずです。
|
↑Distinctionは1~4とSだけじゃなく、長文読解型単語帳である、この2000もおススメです。
|
↑パス単は言わずもがな。この1級用単語がCrystallineではガンガン登場します。
フルボイスなのに低価格
この価格にもかかわらず、本ゲームはフルボイスです(主人公以外)。そして気になる演技の方も、お世辞抜きで上手い! 正ヒロインのLeannaはもちろん、クールなAmeliaの平坦でハスキーな演技も、猫のようなKaraの男をからかうような態度も、寡黙と見せかけて割と焦りがちなZackのオンオフの切り替えも、物語を邪魔するようなことはありません。
発音はアメリカ系かな?と思うのですが、Leannaが"often"を"オフトゥン"と発音するなど、時たまイギリス系が混じる時があるようです。
Leannaが可愛い
このゲーム、ノベルゲーらしく魅力的なヒロインはたくさん登場するのですが、ルートはLeanna固定です。そのため、彼女を気に入るかどうかが物語にハマれるかどうかを大きく左右するわけですが・・・。
個人的には、100点満点のヒロインで大満足!
属性としては、金髪女騎士、生真面目で融通が利かない、でも時にいたずらっ子。まあ、量産型といえばそれまでなんですけどね💦ただそれは言い換えれば安心して物語に没入できることを意味します。ただでさえ英語で描かれてとっつきにくい物語の中に変に凝ったキャラが登場したら、感情移入しにくいですから、このキャラづけは個人的にはメリットだと感じました。
あえてLeannaの素晴らしい点を挙げるとすると、他キャラに弄られて輝く点です。生真面目がゆえに、クールなAmeliaやいたずら好きなKara、飄々としたZackにすら弄ばれ、選択肢によっては主人公にまでおちょくられる弄られっぷりは、純ヒロインの風格たっぷりです。
↑触手プレイもあるYO!
触手から解放されブチ切れるLeanna。"perverted"はDokiDokiLiteratureでも登場した単語の派生です。普通に英語勉強していたら出会わないであろう、いわゆる「HENTAI」という意味ですねw
何があったのかは本編で確かめてください。しかし、このセリフ読むときの声優さんノリノリで良いなあ。一聴の価値アリですよ!
↑自分に向かって"baby"と声をかけてきた男をボッコボコにするLeannaさん。わりと滅茶苦茶やるのよね~、この子。
それでいて、決めるときは決めるのもまた良し。
他のキャラも魅力的
↑このシーンは、Leannaがベッドで男を誘うふりをしてスキを作っている間に、Zackと主人公が後ろから男を倒す手はず。しかしLeannaの誘い方に魅力がないとダメ出しするZack。この後も、シャワーから戻って固まった男に悩殺ポーズを見せつけて、"Is this atractive?"と挑発するとか、クールに見えるZackがふざけまくってお腹痛いw
↑マスコット的な立ち位置のPango。マスコットでありながら主人公の相棒のような存在でもあり、ラストバトルではキーになるという活躍っぷり。声優さん、頑張ったなぁ~って感じですw
↑この世界には5つの属性があり、それぞれに精霊がいます。基本、巨乳です。
精霊たちと出会う度に主人公はその力を吸収し、強くなっていきます。そしてそれが元の世界への扉を開くカギに。
↑かつての英雄たち。この内の何人かは、本編でも登場します。中には重要な役どころの人も・・・? こういうサブキャラにも力を入れているのが嬉しいところ。
飽きさせない工夫
ノベルゲームはマウスをクリックするだけなので単調な作業に陥りがちですが、Crystallineは所々にミニゲームを挟んでいて、単調さを和らげる工夫をしています。
↑上に並んだ画像と同じものを下から選んでクリックする。時間制限あり。
このミニゲーム自体が単調だという問題点はともかくとしてw 工夫していることは評価できます。
他にも、(これは悪い点とも言えますが)たまに微エロ要素が出てくるのも男性のハートをしっかり掴んでくれますw
↑これは魔法の練習中、「風魔法をかけたい部分に意識を集中して」とLeannaから言われた時の選択肢。男なら一番上を選びますよね?w
どうなるか知りたければ、例のごとく本編をどうぞ!
↑温泉シーン。バスタオルが妙にのっぺりしてて変な感じw
実はこのシーンに辿り着くためには選択肢選びが重要だったり。そしてこの後、見せられない一枚絵が・・・?w
明らかに和ゲーを研究している
もう一つ、外せない魅力がこれです。
このゲームの作者、明らかに和ゲー大好きなんですよ。例えばですね、
#crystalline
— green cat (@kurukurukurage3) September 8, 2022
この世界のMage-knightにもクラスSとかあるのか。
そして騙し絵に翻弄される二人。
どっちの意見に賛同するかの選択肢が面白い。
1Happy waifu happy laifu
2Bros before hoes
1は改変されてるけど、よくある成句なのね。 pic.twitter.com/4g4i4ONdyk
↑選択肢1の"Happy waifu happy laifu"ですが、これ本来は、"Happy wife happy life"です。「(男性視点で見て)奥さんが幸せなら人生は幸せだ」的な意味の成句で、じゃあなぜここではwifeでなくwaifuと記述されているかというと、、、
・・・ということです。どう見ても作者はアニオタです。本当にありがとうございました。
とまあこのシーンだけでなく、いろんな場面で和ゲーや日本アニメのお約束を存分に盛り込んでくれているので、ネイティブ日本人のこちらとしては、なんだかむず痒くも安心して、気持ちよくプレイできるんですよね~。アニメ・ゲームに国境なんてないですから!
まとめ
色々と思いつくままに書き殴ってきましたが、まとめると、「Crystalline超おすすめ! 安いし面白いし、ついでに語彙力もリスニング力も上がるよ!」ってことです。ある程度の語彙力があっても序盤ツライですが、重要な単語とは繰り返し出会うことになるし、ストーリーやキャラクターの性格に対する理解が深まるので、進めば進むほど物語にのめりこむことができるはずです。
英語学習の一環として海外ゲームのプレイを考えている人は、やっておいて損のない名作だと言えます。
↑公式
↓クリックしていただけると非常に励みになります!