インプットはアウトプットのためにある
今回ご紹介する本は、樺沢 紫苑さんの書かれた『学び効率を最大化するインプット大全』です。どちらかというと前作である『アウトプット大全』の方が有名で、実際に樺沢さん自身もインプットよりアウトプットの方が重要だと述べています。具体的には、いくらインプットが多いとしても、アウトプット:インプット=7:3くらいまでに抑えるべきだとのこと。
しかしながら本書はインプットについて書いてありますので、読者としてはいったいなぜこの著者はそれ程重要じゃない方についての本を出したのかと不思議に思うことでしょう。
↓インプットは重要じゃないのならこんな本いらなくね? と思ってしまいますが・・・。
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↓こっちだけで良くね?
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その理由はこちら。
「世の中にはインプットの仕方を誤っている人が沢山いる! しかし下手なインプットからはろくなアウトプットが生まれない! 良いアウトプットのためにはまず正しいインプットをしなければお話にならないんですよ!」
というのが著者の主張なわけなのです。
つまり大事なのはやっぱりあくまでアウトプットなわけですね。本書は良いアウトプットをするための前段階として、正しいインプットの仕方を学ぶための方法論をまとめたものとなっているのです。
「お前ら、中学校の数学やる前に小学校の算数が出来てないやんけ! ほんならまずそっちから教えなあかんやんけ!」ってな感じですね。
根本的に実用書の読み方を誤っている人が多い件
もう少し前置きを。
上に書いたとおり、本書には情報をインプットする際に気を付けるべきことが沢山詰まっているわけですが、その中に「効率よく読む」というものがあります。
読書は、本の1ページ目から順番に読んでいくのがあたり前、と思っている人が多いかもしれません。それは(中略)ビジネス書や実用書の場合は、ものすごく効率の悪い読書法です。
恥ずかしながら、私がまさにこの効率の悪い読書法をしていた人間で、これまで実用書を買うたびに「せっかく買ったんだから読み残しがないようにしないともったいないよなあ」って隅々まで読んでたんですよね。すでに知ってることが書いていても念のためとか思いながら。。
ですが、著者はそういう読み方をバッサリと否定します。
そもそも実用書を欲している人というのは何らかの問題を抱えていて、その問題を解決するためにわざわざお金と時間とを投じているのですから、その解決に関係ない部分なんて捨て去ってしまって良いんです。とりあえず目次だけざっと目を通しておいて、また今度別の問題が生じた時になって初めて、「そういえばあの本の目次にこの問題に役立ちそうなことが書いてあったぞ」と気づいたらそこで初めて該当部分を読みに返れば良いだけなんですよね。
それを最初から全部読まなくちゃいけないと思うから、本当に大事な情報がぼやけてインプットされなくなってしまう。これではいけません。言われてみればそのとおり。
と、いうわけで!
その言葉どおり、私は本書も自分に必要な部分だけをピックアップして読みました。全269ページ中私が読んだのは100ページ余りです。項目で言えば、
CHAPTER1:インプットの基本法則
CHAPTER2:科学的に記憶に残る本の読み方
CHAPTER5:最短で最大効率のインターネット活用術
CHAPTER7:インプット力を飛躍させる方法<応用編>
の4つだけ。
よって、これ以外の項目については現時点でご紹介できませんのでご了承ください。
本書の結論
本書の結論は、「インプットするならアウトプット前提にしなさい」というものです。
例えば休日に美術館に行った場面を想定してみてください。この時、後日その感想を誰かに伝えることを想定せず漫然と作品を眺めてしまった場合、いざ週明けに友人から「土日どっか行った?」と聞かれても、
「美術館に行ったよ~。えっとねえ・・・なんか良かった! ムンク感動した!」
程度の感想しか出てこないわけです。ちゃんと鑑賞したはずなのに、思い出そうとすると何も印象に残っていない。
こんなことになるのは、最初からアウトプット前提で鑑賞しに行ってないからなのだと著者は言います。情報が頭に入ったようで実は素通りしているんですね。これではいけない。
そうではなく、大切なのは美術館に行く前にブログなり友人との会話なり、誰かに感想を伝える場面をあらかじめ想定しておくこと。そのワンステップを経るだけで自分自身に緊張感が生まれ、注意力・集中力が高まった状態でインプットに臨めるんですね。
このように、A(アウトプット)Z(前提)理論こそが本書の肝なのです(「アウト」は「A」じゃなくて「O」だろが!・・・と突っ込んだら負け(^^;)。
本書の概要
では本書の中で私が特に重要と感じた点についてアウトプットしてみます。
1:科学的に記憶に残る本の読み方
重要なのは、「速く読む」「たくさん読む」ことではなく、「深く読む」こと。
前置きの部分でもうほとんど書いてしまいましたが、読書は深く読む(深読する)ことが大切で、そのためにはアウトプット前提で読書をしましょうというのが著者の最大の主張です。
ちなみにここで言う「深読」とは、その本について誰かと議論できる水準です。となると相当気合入れて読まなければなりません。
多くの人は、「自分が理解できるレベル」で読んでいきます。なんとなくわかったつもりで読み進め、結果として本の読み込みが浅くなってしまいます。
それに対してアウトプットを前提に読むと「他人に説明できるレベル」で読むようになります。特にSNSやブログなど、他人が読める媒体に感想を書くことは有効で、ノルアドレナリンが分泌されて集中力・記憶力が高まるとのことです。
また同時に著者は、インプットに大切なのは量よりも質だとも書かれています。内容の薄い「三振本」を月に10冊読むくらいならば、内容の濃い「ホームラン本」を月に3冊繰り返し「深読」した方が、自己成長は大きいのです。いくら速読術を身に着けたところで、深く読み込めずに冊数だけをこなすのであればそれはもう時間とお金の無駄だと。
とはいうものの、本なんてこの世には無数にあります。その中でどうすればホームラン本に出会う確率が上がるのでしょう? 本書の中にも失敗しない本の選択術として10種類もの方法がまとめられていますが、私が圧倒的に良いと思うのは「おすすめ読書術」です。
読書家が推薦する本は、何十冊も読んだ中の厳選された1冊です。自分で選ぶよりも、はるかにホームラン率が高いです。
自分で本を選びに走ってしまうことの弱点は、「興味外の本は最初から読もうとしない」ことだと思います。その点、他者からおすすめを聞くやり方であれば、自分1人ではまず手を出さないだろう分野の本にもチャレンジできる!
それに、現代はとても恵まれていて、良質な動画を作る読書系youtuberがたくさんいます。身近に読書家がいなくてもおすすめ本を要約とともにガンガン紹介してくれるので、彼らの動画を上手く活用することで本を選ぶための時間ロスを格段に減らすことができますよ!
私のおすすめ読書系youtuber:
2:最短で最大効率のインターネット活用術
多くの人は、毎日何時間もスマホから情報をインプットし、「自分は情報通である」と思っているかもしれませんが、それは正しいインプット術でしょうか? 情報をどれだけたくさん持っていても、数か月もすれば劣化して価値がなくなります。(中略)
「情報をたくさん集める」行為は、結果としてそこに時間がとられるので「知識」と「知恵」を減らすことにつながります。
著者は、「情報」、「知識」、「知恵」を明確に区別しています。
情報:データを整理して意味づけたもの
知識:情報をまとめて体系化したもの
知恵: 知識を正しく認識し、価値観やモラルに昇華したもの
このように、情報自体にはさして価値はなく、情報を知識や知恵に整理してこそ価値が生まれるというのです。そしてそのバランスは、情報:知識(知恵)=3:7以下が望ましいとのこと。SNSやまとめサイトでどうでも良い情報をダラダラと見続けている人がどれだけ多いか。
本項目ではいかに不要な情報を取り入れず、知識や知恵をインプットするかについて様々な方法が示されています。その中で個人的にヒットだった部分が2か所あったのでご紹介を。
(スマホ利用を)適正化する
本書によると、日本人の1日当たり平均スマホ使用時間は3時間5分。しかし健康や脳に影響を及ぼさないのは1時間以下というデータが出ているとのこと。
実は私自身も全く人のことを言えないくらいにはネット依存症です(^^; さすがにこれではいけないと思いながらも、なんとな~くtwitterとかまとめサイトとかyoutubeとか見ちゃうんですよねぇ。1日あたりのスマホ時間はたぶん3時間を超えてると思いますし、PCまで含めると休日でも8時間を超えています。これはさすがに不味い(^^;
というわけでやりました。スマホ使用の適正化!
1.寝室にスマホを持ち込まない
2.アプリ「UBhind」の利用
この2が大きかった! このアプリを使い、スマホに入っている各アプリの1日の上限時間を設定しておくと、その上限を超えた時点で当該アプリは翌日まで使用不能になるんですよ。私の場合はGoogleChromeとbitbank、youtubeの上限時間を30分間と設定しました。これで無駄なネットサーフィンはせずに済みますね!
また、UBhindを使えば一日のうち特定の時間帯については上限時間が残っていたとしてもアプリを使用不能にすることも可能です。私は夜12:00~朝6:00までは色々なアプリを使用不能に設定し、夜中にスマホを触ってしまう癖を強制的に辞めました。
↓これです。効果は抜群だ!
雑誌を読む
情報のインプットという意味で「雑誌を読む」は外せません。なぜなら、網羅的な最新情報を安価で手に入れられ、図版も多くて読みやすく理解しやすい。いいことずくめです。
ネットや新聞で得られるのは「情報」ですが、本で得られるのは「知識」。雑誌で得られるのはその中間ですが、「知識」より。最新の情報を扱いながら知識に近い情報を得られるのだから雑誌はコスパ高いというのが著者の言。
私は情報ソースは完全にネット偏重で時折本を読むくらい、雑誌なんて漫画以外は読まない派だったのですが、インプットの達人に言わせればどうもそれは良くないようです。確かに自分自身が苦手だと自覚している最新家電とか最新アプリ情報なんて、雑誌が一番に特集組んでるイメージがありますもんね。ネット情報ばかりだといつまで経っても自分の興味外の内容は馬耳東風になってしまいます。
さらに最近はdマガジンなどのサブスクが沢山あるため、料金もかなり安いとのこと。タイトルが「インターネット活用術」になっているのはこれが理由です。今どき雑誌は本で1冊ずつ購入するものじゃないんです。
なんか良い点ばかりが目について、私も雑誌購読は取り入れるべきじゃないかな、と考え始めました(^^;
3:インプット力を飛躍させる方法<応用編>
私は月に数回youtubeライブを行っています。そこでは、視聴者から今送られてきた質問に答えます。事前の準備はゼロで、その場できた質問を読み上げ、3秒後には答え始めるのです。
著者は、インプットした知識を脳内の「きちんと整理された図書館」の各分類棚にジャンル、内容ごとに整理して納められているからこういう芸当が可能なのだと言います。そしてその「脳内情報図書館」には作り方があるとも言っているのです。それがマンダラチャート。(下図)
あらかじめ自分がほしい情報をこの図に書き出して机の前などに貼っておくことにより、自分にとって必要な情報とそうでない情報との判断材料にするわけですね。そして必要と判断した情報は該当の分類棚に収納するよう意識するという。
なるほど~、日ごろからこのマンダラを意識しておけば不要な情報を弾くためにも効果的ですし、アンテナが常に立った状態なのでインプットし忘れることもなくなりますね。また、このチャートを作る段階で、自分が本当に欲している情報が何なのかを見える化できる効果もあります。
なんなら、悪戯に本を読む前にまずじっくりと自分のマンダラチャートを作ってしまった方が、いったい何が人生にとってよりクリティカルな情報なのかを意識できる分、今後の生活の質まで上がるんじゃないでしょうか。
転用 ~本書を読んで自分はどうする?~
さて、本書からは沢山の気づきを得ることができました。まず、今後の読書は全てAZ理論を用い、特にホームラン本については深読した上で本ブログ上に紹介することを約束します。ただし自分にとって有用じゃない部分は思い切って読まずに捨てます。
次に、スマホ依存症から抜け出すためにUBhindアプリを導入し、ネットや金融資本関連のアプリ使用を制限すると共に、夜間のスマホ使用も制限することにしました。これにより不要なネットサーフィンで時間を無駄にしたりスマホ疲れで体調を崩したりすることを防ぎます。
さらにネット偏重だった従前の「情報」収集に、雑誌のサブスクを追加して「知識」収集を新たに試みることとします。これにより最新知識の取り漏れを防ぎます。
そして最後に自分のマンダラチャートを作成することで、自分が人生において必要としている情報を整理し、「脳内情報図書館」の入れ物を作ることとします。今後、私が取得した「知識」や「知恵」はその入れ物の中に細分化して収納されていくことになるでしょう。
↓早速作りました。R2.5.8時点で私がほしい情報はこんな感じ。時とともに変化もするでしょうが、しばらくはこの辺りにアンテナを立てておきたいです。
以上、読書の効果を倍増させる『インプット大全』をご紹介いたしました。ご参考になれば幸いです。
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