20代までに本書を読めば人生勝ち確です
橘玲さんは有名な方で有益な情報を提供してくれるため私もツイッターでフォローしているのですが、実は著書を読んだのはこれが初めてだったりします。以前から『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の方は読もう読もうと思いながらも、他にも読みたい本が多くてなかなか手が出せなかったんですよね💦
今日は古本市場でビジネス書を4冊買ってきました。あと2日、金融資産とともに自己資本への投資をバリバリやります!
— みどりねこ@共働き育児投資家 (@kurukurukurage3) May 4, 2020
しかし、コロナのせいでどこへも行けないGWにちょっと勉強でもしようと思って立ち寄った古本屋で本書を発見したため試しに購入してみたところ、これが大ヒット!!
読破後、すぐに「我が子に読んでほしい書籍一覧」の中に加わることが決定しました。
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断っておきますが、本書はターゲットが若者(大学生~20代の社会人くらい)であるため内容はそれほど深くなく、したがって金融資本や人的資本についての情報を日々取得している我々投資クラスタが新しい知見を得られるような部分はあまり多くありません。一方で、こういう類の勉強を全くしたことのない若者にとっては「今後の世界で人生を幸せに生き抜くためにどうすれば良いか」の指針を与えてくれる、まさに人生の攻略本と呼べるレベルの、まごうことなき良質な総論本と言うことができるでしょう。
私自身、本書を読むことで自分の人生にとって何がクリティカルなのかを、再度整理しながら考えることができました。またその結果、今後の投資方針を少し変更しようかとも考え始めています。う~ん、しっかり影響受けちゃってますね(^^;
本書の結論
本書の結論はシンプルで、今後は「大きな人的資本、大きな金融資本、小さな愛情空間、広大な貨幣空間に広がる『友だち』ネットワークを持つ」のが最適な人生戦略である、というものです。
これを具体的に書けばこう。
1:人的資本は「好きなこと・得意なこと」に一極集中する。
2:金融資本はグローバルマーケットに分散投資する。
3:社会資本は小さな愛情・友情空間と、広大な貨幣空間のネットワークに分割する。
さらにかみ砕くとこうなります。
1:自分の専門性を活かして既存プラットフォームでギブすることを仕事とし、
2:マイホームなんて買わず適切なアセットアロケーションで投資してお金を増やし、
3:少数の家族・友だちとの強い絆も、SNS等で繋がる多数の人々とのゆるい絆も大切にすること。
この1~3の土台作りこそが、変化し続ける今後の世界で幸せに生きるために必要な戦略だというのが本書の結論なわけです。
・・・まあ投資クラスタの方々なら、耳にタコができるくらい聞いたことのある内容ですよね(^^; だけど人生を上手く生きている方々の多くがこれを正解だと言っているんですから、やっぱり正解なんですよきっと。それに、いまだに気づいていない人も多いですからね・・・。
本書の概要 ~2つの定義と3つの土台~
本書では、何を幸福と感じるかは人それぞれ異なると前置きしながらも、ほとんどの人が同意するものとして次の2点を幸せの定義としています。
1:好きなことを夢中でやって、いまが楽しいこと
2:あとから振り返って「幸福だった」と思えること
前者が「やりがい」で、それが積み重なると「生きがい」となり、それを後から振り返って後者の定義を満たすことになるのです。
ただし幸福な人生にも土台となるものが必要で、本書ではそれを次の3つに定義しています。すなわち、
1:お金(金融資本)
2:仕事(人的資本)
3:愛情・友情(社会資本)
幸福とはこれら3つの資本の上に作られるものであるというのが橘さんの主張です。
とはいうものの、これら3つの土台が全て強固な人間なんて稀であり、ほとんどの人は1つないしは2つの土台しか作れていません。ではそれだと不幸なのかというと実はそんなこともなく、最低1つ、できれば2つの土台があれば幸福な人生を送ることは可能であるとしています。詳細割愛。
そして本書には、この3つの土台を作るためのヒント(というか答え)が書かれています。
では3つの土台について、重要ポイントに触れておきましょう。
1:お金(金融資本) ~自由>>>お金~
お金はなぜ大事なのか。それは、君をお金から自由にしてくれるからだ。
お金パートの冒頭に登場するこの一文が、全てを表しています。国家にも、会社にも、家族にも依存せずに生きていくのに十分な資産を持てば(=経済的自立)、それこそが自由なのです。経済的自由を達成していれば、お金が理由でブラック企業やDV配偶者から逃げられないことなんて起こりえないのですから。
この項目で筆者は、金融資本を増やすための方法をたくさん挙げてくれています。その中でも特に大切だと私が思うものを列挙します。
1:「生涯共働き」は最強の人生設計
2:複利は「宇宙で最強の力」
3:ゼロサムゲームではなくプラスサムゲームに参加する
4:宝くじ/マイホームを買わない
どれも有名なのであえて書こうとは思いません。ぜひ本書でその中身を確認してみてください。・・・まあ、私は3と4については結構反対意見を持ってますけどね(^^;
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2:仕事(人的資本) ~日本型雇用の末路~
続いて仕事パート。
日本で言うサラリーマンのような「バックオフィス」型労働はグローバルスタンダードとはかけ離れた労働形態であり今後高確率でAIにとって代わられるため、我々が目指すべき形は組織に依存しなくても生きていける「クリエイター」または「スペシャリスト」になっていく、と著者は述べています。
また日本のサラリーマンが世界で一番自分の会社を憎んでいるというのは有名な話ですが、本書ではその理由を「伽藍とバザール」という例えで説明しているのが面白いです。
伽藍というのはお寺のお堂や教会の聖堂のように壁に囲まれた閉鎖空間で、バザールというのは誰でも商品を自由に売り買いできる開放的な空間を意味します。この時、前者のゲームルールなら参入障壁が低い代わりに一度の失敗が消えないままずっと続くことになるため、労働者が取るべき最善手は「リスクを取らず目立つことをしない」というものになるのに対し、後者のゲームルールだと参入障壁が低いために他と同じことをやっていても商品が売れないため、労働者が取るべき最善手は「失敗を恐れずライバルに差をつける大胆なことをする」というものになります。
日本の会社(あるいは学校)がどちらか、言わずもがなですよね。
こんなネガティブゲームばかりやっているから、日本の会社は過労死するほど働いているのに世界的に見ても労働生産性が低いという悲惨な状況に陥っているわけです。
というわけで、労働生産性が低くAIにとってかわられるようなバックオフィス型の仕事では今後の世界で幸福の土台を築くことはできないことがわかりました。
では我々はどうすれば良いのか? googleとかfacebookとかに肩を並べるような企業なんて作れないよ~! という声が聞こえてきそうですが、別に肩を並べる必要なんてないんだと橘さんは言います。
曰く、プラットフォームがあるなら、利用すれば良いじゃない!
例えば、従来はオリジナル商品を開発しても、それを流通に乗せるためには問屋に日参してお願いするなど苦労が必要だったのが、インターネットの登場によって今ではアマゾンの倉庫に商品を預け、ブログやツイッターで宣伝すれば良いですよね。
このように、ネットの世界はどんどんバザール化しているのです。バザールはポジティブゲームなので、失敗を恐れずにとにかく目立つことをするのが必勝戦略で、実際にトップユーチューバーなんかはそうやって成功を収めてきています。そしてその門戸は分け隔てなく、誰にでも開かれているのです。
日本社会はいまだにネガティブゲームですが、我々が馬鹿正直にその世界で戦う必要などありません。自分が好きなことに全力投球するニッチ戦略を主軸にし、その「好き」を維持したままその時に一番適したプラットフォームに移動していく。
このように、グローバルなプラットフォームを上手に活用することができれば、我々はもはや会社に依存する必要などなくなるのです。
最近では、ネット上の有名人たちが口々に同様の話をしていますよね。それだけ人生の攻略方法が従来とは変化していることの表れだと思います。
また本書では好きなことに全力投球するニッチ戦略を推奨しており、これも多くの方の主張と一致します。次項でも書かれているとおり今後の社会では他者に「ギブ」できるものを持つことが個人の価値につながるというのが著者の主張なわけですが、これって前提として好きなことでなければ長続きしないんですよね。好きなことを突き詰め、既存プラットフォームから発信することが取るべき戦術だと。
本項目に関しては私は全面的に著者の主張に賛成です。
3:愛情・友情(社会資本) ~評判資本を拡大すること~
最後は愛情・友情について。
・・・というタイトルにはなっていますが、この項目の主題はどちらかというと「評判資本」についてのようです。愛情や友情を大切にするなんて当たり前のことですもんね(^^;
さて、SNS全盛の現代世界では、社会資本というのは単純なリアル人間関係だけに留まらず、ネット上も含めた評判を意味するようになったと著者は主張します。すなわち、いいね数やフォロワー数でその人の評判資本が見える化されるようになったというのです。
これは感覚的に理解しやすい話ですよね。ひとたびインフルエンサーが紹介した商品は飛ぶように売れ、場合によってはTVCMすら凌駕する効果を持つことさえあるのです。それほどまでに現代社会では評判資本の価値は高く、著者曰くそれが幸福の土台の一角を担うまでになっているとのこと。
なぜか。
私たちはみんな、自由な社会で暮らしています。しかしながら、そんな自由な世界でも簡単には選べないものが人間関係です。少なくとも会社に所属していれば上司や部下、同僚を選ぶことはできませんよね。でも、それだといつ嫌な上司がやってきて何年も辛い思いをし続けなければならない状況に陥るかわかりません。そんなのは誰だって嫌ですよ。
こうして、「レストランで好きなメニューを選ぶように、誰と一緒に働くかも自由に選べば良い」と考える、フリーエージェントと呼ばれる人が現れます。人間関係を選択できるというのは働き方としてものすごく魅力的なので、やがては会社で働くことが少数派になる時代がやってくるというんですね。
そしてそういう時代で強いのは愛情・友情とは別の広大な貨幣空間に広がる「評判資本」をたくさん持っている人なんです。誰かが「今度新しいことやろうと思うんだ」と声をかけた時に、「それならあの人が面白い情報を持っているよ」と言われるような評判を得ることができれば、会社に所属していなくとも次々と舞い込む仕事の中から自分が好きなものだけを選択して受けるような生活が可能となるのです。
かくして、大きな人的資本と金融資本の他に「弱いつながり」である社会資本も手にした"ソロリッチ(命名:著者)"は、幸福に必要な全ての土台を持っているのだから、人類史上もっとも恵まれた人たちだということになります。
というわけで、
1:自分の専門性を活かして既存プラットフォームでギブすることを仕事とし、
2:マイホームなんて買わず適切なアセットアロケーションで投資してお金を増やし、
3:少数の家族・友だちとの強い絆も、SNS等で繋がる多数の人々とのゆるい絆も大切にすること。
この1~3の土台作りこそが、変化し続ける今後の世界で幸せに生きるために必要な戦略だという本書の結論につながるんですね。
転用 ~本書を読んで自分はどうする?~
さて、本書は若者にとってのバイブルとも呼べる人生の攻略本です。本書を読んだか読まなかったかでその後の数十年にも及ぶ人生をどう生きるべきかが変わるレベルの具体的指針が得られる名著なのは疑いようがありません。
ただし本書の類書はたくさん出ていますし各章の掘り下げは軽く、あくまで総論のような立ち位置の書籍です。
とはいうものの、冒頭で触れたとおり私も本書を読んだことで、一部人生ゲームにおける戦略見直しを図ろうと思った部分がありました。それが金融資本はグローバルマーケットに分散投資するの部分。
私は既にマイホームやマイカーを購入していますし、宝くじは買った方が良いと考えています。またビットコインはゼロサムゲームではなくプラスサムゲームだと考えているなど、金融資本の項目について著者の主張が必ずしも正解とは思っていません。ただ、これまでの私は3本の資本の中で金融資本を増やすことに拘りすぎていたんじゃないかと思ったわけです。
高配当な個別株戦略を主軸にするこれまでの投資手法だと、それが成功しようが失敗しまいが、どうしても投資先の財務状況を気にしながら生活を送ることになってしまい、投資とは別の部分で無駄な時間や体力を消耗することに繋がります。いくら金融資本が強固に構築できても他2つの土台を作る余裕がなくなってしまえば、これはバランスが悪いですよね。投資が趣味なのでそれでも良いと言えば良いのですが、この趣味ってあんまり実りがないんですよね~、正直(^^;
だから、今後はもう割り切って投資先をSPYD、VYM、HDMの3つに絞ってしまい、個別株投資は廃止しても良いのかな、と思ったんです。当然そうすると個別株と比べて利回りが低くなるので、アーリーリタイア時のインカムゲインは予定よりも減ってしまいますが、その減った分くらいは余裕でまかなえる人的資本と社会資本とを構築することに尽力した方が、最後に振り返った時に良い人生だったな~って思えるような気がするんですよ。
最悪、資本主義が壊滅した場合、金融資本なんて何の意味もなくなりますしね・・・。
なんか色々書きましたが、総じて素晴らしい人生ゲーム攻略本でした。まだ読んだことのない方はぜひご一読を!
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