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【実録】まさかの理由で所得税・住民税を大損!【年末調整】

 

総務課あるある「所得税是正」と「住民税額変更」

 本業は年末調整業務の真っただ中です。社員たちは毎年のごとく扶養控除申告書の書き方に苦労しているらしく、質問の絶えない毎日を過ごしています。ちなみに私は昨年提出してもらった本人の用紙をあわせて本人にわたすことで記入例の代わりにしているのですが、そうすると状況が変わっているにも拘わらず全く同じ内容を記載してくれる社員も一定数います(^^;

 扶養控除申告書や配偶者控除申告書はわからなくもないのですが、保険料控除申告書の金額までそのまま提出するのはさすがにどうかと💦 ただそういう人には記入例をわたしても同じことを書いてくるに違いないので、その都度口頭で説明するしかないですね。たぶん、同じ立場の人ならこの苦労をわかってくれるかと思います。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、今回は税金の修正についてです。

 総務課で勤務していると、時たま社員の所得税が是正されたり住民税が変更になったりする場合がありますよね。もちろんわれわれ総務課職員が年末調整を失敗したことが原因の場合もありますが、大半は本人の問題です。自らの扶養状況を適切に認識していないがために、扶養控除申告書に誤った記載がなされており、それが原因で給与報告書と自治体の把握している家族状況との間に齟齬が出て判明するというわけですね。

 

 そうなると、翌年になってから「去年の申告が誤っていたので、○○円支払ってください」と税務署やら自治体の住民課から連絡が入り、あたふたする羽目になるのです。大抵数万円単位で支払いが発生するので、食らった方は地獄ですね。

 

 ※ちなみに住民税の場合は納付書が来るのではなく、年度途中から特別徴収額を引き上げることになります。天引き額が増える・・・これもツライ(´;ω;`)

 

実際に住民税額が変更になった事例

 ここからは、私が年末調整を行った社員で、まさかの理由により翌年の住民税額が変更になった事例を紹介します。例のごとくフェイクは入れてあります↓

 

年末調整時の状況

 50代のA社員は 年末調整時の扶養控除申告書に、

①70代の父親(同居)

②20台の息子(同居)

③40代の弟(障がい者手帳あり、別居)

の3名の氏名を記載して提出してきました。

 

【扶養家族の収入状況】

①70代の父親:

 国民年金で年間60万円程度、それとは別に個人でかけていた終身年金で年間50万円程度、合わせて110万円程度の収入。

②20台の息子:

 バイト代で年間100万円弱の収入。

③40代の弟:

 障がい年金で、年間90万円程度の収入。

 

 さて、この①~③のうち、制度上「控除対象扶養親族」に入れられるのは誰でしょう?

 

 まず②20台の息子は簡単です。給与収入のみのため103万円未満なら控除対象になります。よって年間100万円弱の本件なら当然控除対象扶養親族に入れることができます

 

 次に①70代の父親です。これはうっかりすると間違えるかもしれません。

www.nenkin.go.jp

[例2] 所得が老齢(退職)年金だけの方
65歳未満の方で、受け取る年金額が108万円以下のときは、公的年金等控除額が60万円となっていますので、これを差し引くと所得金額は48万円以下となります。
65歳未満の方で、受け取る年金額が1,633,334円以下のときは、公的年金等控除額が計算の結果最大683,333.5円となるので、所得金額は95万円※以下となります。

※ 計算結果に一円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。 

65歳以上の方で、受け取る年金額が158万円(205万円)以下のときは、公的年金等控除額が110万円となっていますので、これを差し引くと所得金額は48万円(95万円)以下となります。

  日本年金機構のHPから、年金収入のみの場合、65歳未満の場合と65歳以上の場合とで控除対象扶養親族になれる年収が異なっていることがわかります。

 本件の場合父親は65歳以上に該当しますので、年収が110万円ならば控除対象扶養親族に入れることができます

 

 そして最後に③40代の弟(障がい者手帳あり、別居)はどうか?

 これは馴染みがないかもしれません。

No.1160 障害者控除|所得税|国税庁によると、

扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。

 とあり、特定の条件を満たす親族が障害を持っている場合は、年齢にかかわらず扶養親族とすることが可能です。

 そして詳しくは記載しませんが、A社員の弟はその要件を満たしていました。よって、控除対象扶養親族に入れることができます

 

 このように、①~③全ての親族を控除対象扶養親族とする、A社員の申請は正しかったわけです。

 ・・・少なくとも、年末調整の時点では。

 

 しかしながら、A社員の元には翌年の夏前に市役所から「①70代の父親を控除対象扶養親族にすることができない」旨の通知が舞い込み、住民税額が大幅に増額されてしまったのです。これはいったいなぜなんでしょう?

 

父親を控除対象扶養親族にすることができなかった理由

 その理由は、確定申告にありました。

 それもA社員自身のではありません。A社員の父親の確定申告が問題だったのです。

 

 年末調整を行った翌年2月、A社員の父親は1人で税務署へ向かったそうです。上述したように父親の年収は公的年金&個人年金の合計110万円程度であるため、本来であれば確定申告自体が不要だったはずです。

 ところが、彼は前年まで農業に従事しておりそれなりの年収があったため、長年染み付いた癖で確定申告に行ってしまったとのこと。そして事件は起きました。

 

 なんとA社員の父親、何を思ったか③40代の弟(※A社員から見ての弟)を自分の控除対象扶養親族に入れてしまったのです。

 

 

 ・・・なにやってんだぁああああああ!!(# ゚Д゚)

 

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話を聞いた時の私の気持ち

 

 こうして③40代の弟は、「A社員」と「A社員の父親」、両方の扶養に入ることとなったわけですが・・・そんなダブルカウント通るわけがありません。

 そして理屈から考えても当たり前ですが、他人を扶養している者(A社員の父親)が、他者(A社員)の扶養に入ることなんてできるわけがありません。

 

 また、年末調整と確定申告には決定的な違いがあり、「年末調整」は失敗してもリカバリーが効くのに対し、「確定申告」は文字通り所得税を「確定」してしまう制度なので、確定申告をしてしまうと(通常の方法では)もう修正はできません

 

 つまり今回のケース、

・A社員の控除対象扶養親族:

 ②20代の息子のみ

・A社員の父親の控除対象扶養親族:

 ③40代の弟のみ

 

 この状態で確定してしまったということです(^^;

 

 これ、メチャクチャ損してますよ。

 本来なら①70代の父親、③40代の弟の2人がA社員の控除対象扶養親族になっていたはずなのに、実際には①70代の父親は控除対象にすらならず、その上父親には所得税が掛かってこないにも拘わらず③40代の弟を控除対象扶養親族に入れてしまったのですから、事実上、③40代の弟の分も控除されていないのですから。

 

 計算していませんが、10万円近く損してるんじゃないですか? 住民税だけの問題じゃなく、A社員の年末調整が誤ったことになってしまったので、所得税まで是正されましたしねぇ・・・。

 

結論

 と、こんなケースは総務課勤務の中で初めて遭遇しましたし、そうそうないとは思います。しかし、こんなの総務課の立場から防ぐ手立てなんてありません💦

 せめて同居家族が確定申告に行っているのかどうかくらいは把握していてもらいたいものです。

 

 税金のことなんて誰も教えてくれません。損したくなければ、自己責任で勉強を重ねるしかないのです。

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