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洋書多読の記録①【HOLES】多読生の登竜門・アメリカの傑作ジュブナイル小説

 

作品紹介

holes

 HOLESは、洋書多読をしている人なら全員が通る道と言っても過言ではないくらい、界隈で有名な小説ですよね。恥ずかしながら、私もようやく本書を読み終わりましたので、感想を書き留めておきたいと思います。

 読み終わった直後の感情のまま端的に書けば、本書は

 

小学校高学年くらいの男子が好きなことが目いっぱい詰め込まれた良書

 

という感じです。

 もうね、謎解きあり、サスペンスあり、不条理あり、恐怖あり、友情あり、冒険あり、動物パニックあり、カタルシスあり…。あの頃の自分たちがワクワクしながら読んだ、子供向けの青春小説そのものなんですよ!(・・・あ、でもエロだけは皆無ですね、この小説笑 男子にとっては大切なんですがね!)

 舞台こそアメリカのテキサスではありますが、そんなお国の違いなんてどうでも良くなるくらいどうしようもなく引き込まれる、リーダビリティの高い物語。

 謎や伏線も適度にちりばめられており、それらも丁寧に回収されます。また後に映画化されているように、後半から終盤にかけては映像化映えするようなダイナミックな展開の連続で、情景が目に浮かびます。日本語でなくとも力量ある作家の作品だということが明確に理解できる、そんな完成度の高い作品でした。

 

 ストーリーについては今さら説明するまでもないですが、いちおう未読の方のためにネタバレなしであらすじだけごく軽く。

 いじめられっ子のStanleyは、干上がった湖につくられた少年矯正施設に無実の罪で収容され、同年代の少年たちと来る日も来る日も地面に大きな穴を掘らされることになります。いったいその穴は何のために掘らなければならないのか? Stanleyの無実は晴らされるのか?

 こんな風に、物語は全編、Camp Green Lakeと呼ばれる少年矯正施設?の中で展開します。施設の少年たちは互いをニックネームで呼び合い、Stanleyもまた"Caveman(原始人)"という不名誉なニックネームをつけられることに。彼らのカーストや人間模様なんかも薄味ながらリアルに描かれています。

 また、Lakeとは名ばかりで、施設の周りはほとんど砂漠同然。水も食料もないので、少年たちは逃げ出すことなどできず、看守たちに従わざるを得ません。ただ毎日穴を掘るのです、言われるがまま。生きるために。

 物語は、Stanleyたちのいる現在と、彼のひいひいおじいちゃんが生きていた時代の2パートで展開され、徐々に過去が現在に繋がってくるような話運びとなっています。この過去パートが伏線作成装置として機能すると共に、現在パートに欠けている「恋愛要素」を補充する役目も担っている辺りは、実に構成が上手いな、と感心しました。恥ずかしいから表に出さないだけで、男の子だって恋愛描写は好きですからね!

 

必要英語力など

推奨英語力:TOEIC720~、英検2級~

 ゲームプレイ開始時点の私の英語力は、TOEIC905点、英検1級一次合格でした。英検1級Vパートの結果から、語彙力は1万語+α程度だと思われます。その私のレベルだと、平均して見開きに3つ程度の未知語がある感じです。ただ、その大半が文脈から推測できるor重要ではないこと明らかなため、読み進める上で障害になることはあまりありませんでした。少なくとも、私が今までプレイしてきたノベルゲーと比較しても簡単な部類に該当します。スラングも少ないですし。ネット上では「ひいひいおじいちゃんパートが挿入されるせいで読みにくい」という書評もありますが、そんなことはないです。そういう感想が出るとしたら、それはそもそも日本語の読書量が少ないせいで「小説のお約束」が体内に根付いていないだけであって、英語力とは別種の問題かと。

 一方で、文法では仮定法が頻発するため苦手な人にはツライことや、特に物語終盤においてキャラ達が(読者にとっては)未知の情報を提示してくることで、「えっ、もしかしてどこかで読み飛ばした? or 誤読した!?」と不安になる部分もあったりました。後者については直後にStanleyが疑問を解いてくれたので安心しましたが笑

 

 総合的に、本書が洋書多読の登竜門とされていることには納得です。これが読めるなら、日本語字幕なしのノベルゲーでも学園モノなんかなら十分プレイできるでしょうし、200ページ超を読めるスタミナがある証明にもなりますよね。

 個人的には、↓ATRIをプレイしてほしいところ。日本語音声付きですし、英語と日本語の字幕を併記できるので挫折することはないでしょう。何よりシナリオが良すぎるので、こっちはノベルゲー多読の登竜門としてぜひ!

www.midorineko.work

 

未知語(抜粋)

 読後時点で、私にとって未知だったり、忘れてしまっていたりした単語や表現を(推測できたものも含めて)、一部抜粋しておきます。読書中は辞書を引かず、読み終わってからまとめて調べました。大方の難易度の目安になれば。

 

shriveled:しなびた

rattlesnake:ガラガラ蛇

handcuff:手錠

hay:干し草

stagecoach:乗合馬車

grunt:短く唸り声をあげる、不満がましく言う

rundown:荒廃した

cabin:小屋

penal code:刑法

Well duh!:当たり前だろ!(下品な表現だそう)

burlap sack:(粗い)布袋

jumpsuit:つなぎのような服

buzzard food:ハゲタカの餌

compound:複合施設

wearily:疲れて

cot:小さいベッド

playfully:ふざけて

file out:ぞろぞろ出ていく

scratchy:ちくちくする

forlorn:心細い

deftly:器用に

spit:唾を吐く

pry:詮索する

No offense.:悪く言うつもりはないんだけど。

Way to go.:Good job.と同じ

red-handed:悪事に手を染めている

Thank God!:良かった!

 

 この他にも色々ありますが、未知語の多くは名詞でした。そういうのは「たぶん植物(動物)の名前だな」とか、「部屋にある小物かな」とか、大抵は文脈から想像がつきますし、とりたてて重要なものでもない可能性が高いため、スルーしても全体像をつかむには問題なかったです。概ね、英検準一級程度の単語が大方頭に入っていれば、詰まることはないと言い切れます。2級程度でも、最初に少し辞書を引けば大丈夫かと。

 

ネタバレ感想

 以下、少しだけネタバレ感想を書くので、見たくない方は気を付けてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本書は、StanleyとZeroとの友情物語としても秀逸で、周りからバカにされながらも毎晩毎晩Zeroに文字を教えていたことが、最後の最後で報われる展開には涙しました。かつ、この2人の友情が悲恋に終わったひいひいおじいちゃん達の関係に対しての救いになっているのも胸熱。ミステリ的なあるあるではありますが、互いをニックネームで呼び合うことで本名を明示させない設定を、上手く利用した部分でした。

 また、元いじめられっこだった太っちょStanleyはこの収容生活の中で体重が激減して体力が付いたことで、きっと学校に戻っても以前のようにやられっぱなしではないんだろうなあ、という希望を感じられる点も良き。

 お父さんの発明の件などはちょっとご都合主義的な感じですが、それこそジュブナイルであることを考えれば、これくらいポジティブな大団円を迎えた方が、きっと読者も未来に希望が持てるってもんです。

 もう、あらゆる点が素晴らしい。200ページの中編として、過不足なく完璧にまとまっています。

 

 

おすすめ度

 おススメ度は、10段階で10です。

 冒頭で書いたとおり、男の子が求める要素がふんだんに盛り込まれた小説で、読者を飽きさせない工夫に富んでいます。全米ベストセラーらしいですが、それも当然という感じ。元はいじめられっ子だった主人公の成長も見られますし、ラストにはカタルシスもあって読後感も良いですし。思わず親指を立てたくなること請け合いです。まさに、洋書多読の登竜門。

 

 

まとめ

 これ以上書くこともないですね。

 本格的に洋書多読やノベルゲー多読を始める前に、読んでおくべき一冊です。これを読み切れるかどうかで、自分の実力や嗜好が多読に適しているか判別できる、リトマス試験紙として大いに役立つでしょう。

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