英文多読とは
英語を学習方法の中に、「多読」というものがあります。
非常に完結に書くと、「幼児が読むレベルの簡単な英語本からとにかくたくさんの英語本を楽しく読みまくり、徐々に難易度を上げていくことによって、自然と大人向けの英語本でも問題なく読めるようにする」という学習法のことです(私の認識では、です)。
↑多読についてより詳しく知りたい場合は、『めざせ100万語!多読で学ぶSSS英語学習法』さん(リンク先)をご覧いただければと思います。
ここで、多読を進めるにあたり、超重要な三原則を上のサイトから抜粋します。
- 辞書は引かない (引かなくてもわかる本を読む)
- 分からないところは飛ばして前へ進む (わかっているところをつなげて読む)
- つまらなくなったら止める (1 2 の原則で楽しく読めない本は読まない)
この三原則、とっても大切なんですね~。
ノベルゲーを選ぶ利点
①種類の豊富さ
英語のノベルゲーは、思っているよりたくさんの種類が出ています。もちろん、小説や伝記・実用書などの一般書籍と比較すれば全然数は少ないですし、素人に毛が生えたような製作者が作成した低クオリティの作品もありますが、それでも2023年の現時点でも、有料・無料合わせれば数千作もの英語対応ノベルゲーがありますし、steam等のプラットフォームでは毎日のように世界中で新しいノベルゲーが開発・発表されていることを考えれば、いずれにしても全てを遊びつくすことなんて不可能です。
また、ノベルゲーには海外発のものだけでなく、日本産のゲームが英語版に翻訳されたものも多数あります。特に日本発のものについては、過去に日本国内で人気があった作品が優先的に翻訳される傾向にあるため、ハズレが少ないというメリットもあります。不自然な英訳になっていないか心配かもしれませんが、掲示板で世界中のプレイヤーの反応を調べても、「この英語おかしくね?」みたいな投稿は(メジャータイトルなら)ほとんど見かけませんので、その辺りはきっちりネイティブチェックが入っているものだと推測されます。なので、困ったら日本産のゲームをチョイスしておけば、OKでしょう。
②最新のスラングやイディオムを学べる
ノベルゲーは一般書籍とは異なり、現代の作家が書いたものばかりです。そのため、多読をしていく中で、現在はもう誰も使用していないような古臭い表現は登場しません。また会話文が多いという性質上、人間同士の生き生きとした掛け合い、スラングの応酬を楽しむことができます。それも、ノベルゲーの多くは学園や若者の世界が舞台ですので、そこで使われる語彙もまた若いものが多いです。ここで身に着けた語彙をリアルの会話でも使えば、机の上だけで勉強してきた人たちとは一味違う英会話を楽しむことができること請け合いですね!
③演出による補助➡没入感と難易度調整
ノベルゲーは小説の最大の違い。それは、音楽や音声、イラスト、エフェクトの有無に他なりません。これらの存在により、小説では読者が頭の中でイメージするしかない、シナリオの場面場面を確実に誤読なく、理解することが可能となります。誤読に怯える必要がなくなるため、物語への没入感がもう段違いです!(もちろん、読者の想像力を喚起することが逆に小説のメリットであることは確かなのですが、こと英語の文章でそれをするとなると、個人的には相当負荷が大きいのではないか、と感じます…。多読の大敵は誤読ですからね。読み飛ばしを)。
なお、音声の有無については作品によって異なり、無料のゲームはほとんど無音声です。一方有料のゲームでは音声がついていたりついていなかったりしますが、下手な声優ならない方がマシですw 逆に上手い声優さんなら、ネイティブの発音を耳で聴きながら物語を読み進められるため、多読に加えて多聴もできるため、コスパは抜群になりますね!
それと、日本発のゲームの場合、ほとんどの場合音声は日本語です。これには一長一短があって、多聴の効果はゼロになってしまうものの、誤読する可能性が極めて低下することに加え、瞬間英作文っぽい使い方ができるというメリットもあります。耳では日本語音声を聴きながら目では英語字幕を見ることになりますので、日本語でのニュアンスを英語だとこういう風に表現するんだ!と身をもって理解でき、リアルな会話での手札が増えることが期待できます。
④自分で選択肢を選ぶ醍醐味
ノベルゲーと小説のもう一つの違い。それは、選択肢の有無です。小説の場合、作者が魅力的なストーリーを複数思いついたとしても、どうしても結末は1つに限定せざるを得ないのに対し、ノベルゲーは作者が考えられる限りに展開・結末を分岐させることができます。これは、単純にゲーム1本あたりで読める英文の量が増えることだけでなく、物語に没入する一助にもなってくれます。
例えば、バッドエンドの選択肢を選んで主人公が悲しい運命を迎えてしまった場合、次回プレイ時には、その結末を回避するようにプレイヤーは動きます。そしてついにハッピーエンドを迎えることが出来た時、その感動は倍増するはずです。これは一本道の小説では味わえない感覚です。また、ゲームによっては「素晴らしいバッドエンド」なるものも存在します。これはこれで胸を打つものがありますので、せっかく選択肢付きのノベルゲーをプレイするのであれば、ぜひエンディングコンプリートを目指してほしいと思います。
⑤まとまった文章量をサクッと確保できる
上述のサイトによれば、英語多読は100万語を越えたあたりから効果が目に見えて実感できるそうです。しかし、書籍でこの語数をこなすとなると、相当な忍耐が必要です。例えば『ハリーポッターと賢者の石』は7万~8万語程度の語数となっていますが、これは長編小説です。長編小説を一本読むとなると、それなりに腰を据えて読むことが要求されるでしょう。
一方、ノベルゲーはというと、10時間程度で終わる短編ゲームで、おおよそ5万~8万語の語数です(※音声の有無・選択肢の有無で大きく変動します)。短編ノベルゲーなんて、「気づけば終わっている」くらいのものなのに、それでハリポタ一冊をこなしたのとさほど変わらない計算になるのです。読書家ならともかく、普段それほど本を読まない人にとって、あんな分厚い本を読むのと、短編ノベルゲーをサクッと終わらせるのとでは、精神的な負荷が大違いです。
このように、ノベルゲーを次々とプレイしていけば、100万語なんて知らず知らずのうちに突破しているのです。
おすすめノベルゲー5選
ここからは、私のおすすめノベルゲーを独断と偏見で5本紹介します。個人的な好みの傾向として、どうしても泣きゲーや鬱ゲー、また物語の構造自体を破壊しにかかるようなゲームが好きだということで、相当偏ったラインナップになっています。
ミステリとかホラーにも面白いゲームが沢山あるので、ぜひ探してみてくださいね。そちらも、機会がまたあれば記事にします。では、いきましょう。
第5位:Planetarian ~ちいさなほしのゆめ~
こちらは日本のKeyが2004年に発売した作品。荒廃した街のプラネタリウムを舞台に、青年とロボット少女との短い交流を描くノベルゲーです。「キネティックノベル」という枠組みで、全年齢対象・選択肢なし・日本語音声の作品ですね。
Keyですからもちろん「泣き」が約束されており、丁寧な筆致で物語への没入感も相当なものです。単純に素晴らしい作品をプレイしたいなら、断然おススメの短編ノベル。詳しくは↑記事をどうぞ。(※後半はネタバレ注意!)
第4位:Crystalline
こちらは、カナダ発の作品です。いわゆる剣と魔法の世界に転移してしまった大学生の主人公が、そこで出会ったヒロインや仲間たちと交流しながら冒険しつつ、元の世界に帰る方法を探すという王道ストーリー。
ネイティブが作成しているため英語の質は完璧ですし、しかもフル音声つき。多読&多聴を同時にこなせる点でも素晴らしい。ストーリーは一本道ですが、ギャグシーンが多く選択肢も豊富なので、思わず全部選びたくなってしまいます。ボリュームは相当多く、これ1本で20万語以上を稼ぐことができるでしょう。妙に日本びいきな感じがするのも、なんか嬉しい。詳しくは↑記事をどうぞ。
第3位:Doki Doki Literature Club!
恋愛ゲームと見せかけた、狂気のゲーム。あまりにもアレだったので、当時全世界で話題沸騰しましたよね。なお、どう見ても日本の学校が舞台なのに、製作者はアメリカ人です。また、音声はありませんが、Steamで無印をプレイするならなんと無料! 短いゲームですし、懐が痛まないので一度はプレイしてみるべきです。面白さとクオリティは保証します! 詳しくは↑記事をどうぞ(※子供や、精神の弱い人はプレイしない方が良いです。他でもない公式がそう言っていますからw)
第2位:HARMONIA
第2位は、またまた登場、日本のKeyが2015年に発売したHARMONIAです。設定はPlanetarianと似ており、荒廃した街を舞台にPhiroidと呼ばれる自動人形と人間との交流を描く短編ノベルです。もちろんKeyお得意の「泣き」は健在・・・どころか大幅に演出がパワーアップしており、私はまんまと号泣しました。2023年8月時点で、今年プレイしたベストノベルです。全年齢対象・選択肢なし・日本語音声です。詳しくは↑記事をお読みください(※後半はネタバレ注意!)。
第1位:White album2
そして栄えある一位は、日本のLEAFが2010年に序章を発売(2011年に続編が発売)した、White album2です。シナリオ担当は『冴えない彼女の育てかた』で一躍一般的にも有名になった、丸戸史明さん。その名前だけで、これもまた「泣き」が約束されたゲームだということが伝わるでしょうか。
ちなみに、ブログ記事はまだ書いていません。書き始めると間違いなく何万文字とかになってしまうからです。ジャンルとしては、いわゆる「浮気ゲー」。プレイした人がみな口をそろえて言う「胃が痛くなるゲーム」です。「鬱ゲー」の範疇に入れられることすらありますが、大げさでもなんでもないですよ。
ついに海外の有志によりWHITE ALBUM2の完全版英訳パッチがリリースされました❄️
— Matsuri (@Matsur1chan) December 23, 2021
長年苦しみながら翻訳作業しているのを見ていたので、是非多くの人にプレイしてみてほしいです。
英語と日本語の表現の差や雰囲気の違いを是非楽しんでみてください。https://t.co/1yNCkpj4f5#WHITEALBUM2 pic.twitter.com/xf8PQtF8pT
↑このように、実は本作は公式には日本語版しか作られていないんですよ。しかしながら、熱烈なファンがあまりにも多く、「この素晴らしい作品をどうにか全世界へ!」と燃える人々が集まって何年間も地道に作業をしてくださった結果、ついに有志による字幕パッチが完成したのです。
え、マジですか。
— green cat (@kurukurukurage3) January 8, 2023
今頃知ったけど、そんなん英語多読もうこれ一本で十分すぎるやん。何十週もできる自信しかない。 https://t.co/4L7VGgTsq9
↑思わず引用リツしちゃったw こんなプロジェクトが進んでいるなんて、当時私は全く知りませんでしたので、本当に驚きました。もし知っていたら、間違いなく自分も有志として翻訳に手を上げていましたよ。
本作のあらすじを公式から引用します。
親友に誘われ軽音楽同好会に入った主人公、北原春希。一月後の学園祭でのバンド発表を目前に、同好会はボーカルの少女が原因で解散してしまう。
気が付けば、同好会には主人公と親友の2人しか残されていなかった。しかも2人とも担当はギター。諦めきれない春希はどうにか打開策を考えつつ、放課後ギターを弾いていると、外から不思議な音色が流れてきた。
春希のギターに合わせたピアノの旋律。
二つの音色に乗せて、屋上から響く歌声。
その音の主は、クラスメイトのピアニストの冬馬かずさ、学園のアイドル人気者、小木曽雪菜だった。
春希は彼女たちをなんとか説得し、雪菜をボーカル、かずさをキーボードとして同好会に迎え入れる。
新バンド結成から本番までの期間はわずか。ギリギリのスケジュールの中、少しずつ音は良くなり、三人の絆はどんどん深まっていった。
誰もが一生懸命だった。誰もが強い気持ちで突き進んだ。誰もが、ひたむきに、まっすぐに、正直に――心の底で結ばれ、かけがえのない瞬間を手に入れた。だからそのとき、誰かが誰かに恋をしてしまった。一足遅れの、してはいけない恋を。そして冬――降り積もる雪は、すべての罪を覆い隠し。
やがて春――雪解けと共に、すべての罰を下す。
うーん、不穏ですねw 序章は高校時代での恋愛のお話で、「小木曽雪菜」と「冬馬かずさ」の2人のヒロインを主軸にストーリーが進んでいきます。その後、大学時代~社会人時代と物語は進み、途中でサブヒロインも登場しますが、あくまでもシナリオの主軸は、全体を通して上記の2人どっちを選ぶかです。
単純だと思いますか? しかし、いずれのヒロインも強さと弱さ、家族関係のしがらみと自身の選択が周囲に与える影響の中で思い悩む姿、複雑な内面、思考と必ずしも合致しない行動なんかが異様なほど丁寧に書き込まれており、さながら命を持った1人の人間のように振舞うのです。特に、雪菜の腹黒さと聖母っぷりは、「よくここまで相反する性質を併せ持った複雑な人物像を作り上げたなぁ・・・」と驚嘆に値するものがあります(そういうわけで人気はかずさの方が高いのですが、雪菜派は過激な人が多い印象w)
とまあ、そんな2人を選ぶ過程で主人公もプレイヤーも葛藤し苦悩し、物語世界から抜け出せなくなって、気づけば胃を病んでいる人が続出したわけですよ。当時。外ならぬ私にとっても生涯プレイしてきたノベルゲーの中で、ダントツの1位です。
あと、本作は音楽が素晴らしいです。ピアノを主体とした綺麗で落ち着いた曲が多いのですが、特定のシーンで流れるBGMは、条件反射的にプレイヤーの胃をぶっ刺してきます。雪菜が振られるシーンで必ず流れるいわゆる「処刑用BGM」とか、とんでもない破壊力ですw
プレイする時の注意点としては、原作は18禁という点ですね。一般向けにPS3版とかも出ていますが、有志の英語字幕パッチを付けられるのはPCにインストールするバージョンだけですので、PS版は未対応です。それにシナリオの流れを考えても、18禁シーンが重要な意味を持つ作品なので、そこを飛ばしちゃうと感情の入り方に差が出てしまうと思います。
本作は、とんでもない長編です。クリアに1年以上かかる実況系youtuberもいますからね…。文字数は不明ですが、選択肢を網羅するならこれ1本で100万語超えていても何ら不思議じゃないですよ。それほどの大作です。だからですね、私が思わず引用RTしてしまった。
今頃知ったけど、そんなん英語多読もうこれ一本で十分すぎるやん。
ってのも、あながち間違いじゃないんじゃないかな~と。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0788BRGN3
↑本編はここから購入(※18禁です)。
↑英語化パッチはここからDL。
インストール方法:
1.日本語版のゲームを入手し、パッチを当てる前にインストールする。
2.英語版パッチをダウンロードし、アーカイブ内のすべてをホワイトアルバム2のフォルダ(WA2.exeがあるフォルダ)に解凍する。
3.ホワイトアルバム2のWA2.exeを起動する。
まとめ
ということで、英文多読には小説よりもノベルゲーをおすすめする理由と、2023年現在の私のおすすめノベルゲー5選をお届けしました。ジャンルが偏ってしまった感は否めませんが、どの作品も間違いなく超面白いです!
毎年、夏になるとSteamではノベルゲーの値引きセールが行われていますので、安いうちにまとめて購入してしまい、次のセールまでの間、順番にプレイしていくのも良いかと思います。あなたの英語多読ライフが、より豊かなものになりますように!
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