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30代からの投資でアーリーリタイアを目指す記録。日本に拘りはなし。

英語ゲーム多読の記録②【doki doki literature club】アメリカのノベルゲー

作品紹介

 言わずと知れた名作なので、知っている人も多いでしょう。有志が作った原作の日本語版も出ていますし、ドキドキ文芸部「プラス」として、拡張版も別プラットフォームで発売されています。

 本作は、文芸部を舞台にしたノベルゲー(ギャルゲー)です。作者はアメリカ人でありながら舞台は日本ですし、キャラも全員が日本人名。ただし文章はすべて英語です。しかし英語とはいえ、物語の展開は古き良き日本のギャルゲーのお約束を丁寧になぞる感じなので、次にどういう展開が来るか非常に読めやすく、知らない単語が出てきても簡単に理解できてしまいます。

 天真爛漫な幼馴染のサヨリに連れられて、半ば強制的に文芸部に加入させられた主人公はそこで3人の別の美少女たちと出会い、作詩活動を通しながら彼女たちと親睦を深めていく。さあ、最後は誰とくっつくのかな?・・・そんな感じのどこにでもあるギャルゲーに見えます。・・・一見。実際は、その期待は大きく裏切られることになりますけどね! シナリオについては、このゲームの性質上、ここで詳しく書くことはできません。ネタバレすると魅力が大幅減してしまう類のゲームだからです。

 一枚絵はブレが目立ちますが立ち絵は安定していますし、音楽は非常に高クオリティ。そしてシナリオは言わずもがな。短編とはいえ、プレイヤーの感情を大きく振り回してくれる内容で、しかも無料というなんですから、これはプレイしないと損ですよ。ちなみに、音声はありません。その点だけは残念ですが、無料のゲームにそこまで求めるわけにはさすがにいきませんw

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↑このゲーム、子どもや簡単に感情を乱してしまうような人には向いていません。という注意が冒頭で出るくらいには、ホラー要素アリです。苦手な人は注意!

 

必要英語力など

推奨英語力:TOEIC860~、英検2級~

 単語レベルは、そこそこです。

 ゲームプレイ開始時点の私の英語力は、TOEIC810点でした(英検は受験歴なし)。

紹介順は前後してしまいましたが、実際はCrystallineよりも先にプレイしています。そのため初プレイの際の私の英語力は低かったのですが、それでも序盤は辞書を引きながらであればなんとか物語についていけましたので、Crystallineと比較すれば必要英語力は低いです。

 ただ、作者がアメリカ人なので、Crystallineと同じくスラングは多用されますし、一部には英検1級の単語も登場します。しかしながら、これもまたCrystallineと同じく作者は明らかに日本のノベルゲーが大好きで、物語の進み方がベタなのと、ヒロインたちがどこにでもいる量産型の記号的キャラなので、簡単にシチュエーションを想像できてしまいます。短編であることも、途中で挫折せずプレイできることに一役買っていると言えるでしょう。

 

 そういうわけで、洋ゲー多読入門編として使うのが良い印象です。日本のノベルゲーをプレイしたことがある人なら、TOEIC700点以下とかでもたぶん全然ついていけるかと。恥ずかしながら私自身、本ゲームプレイ開始時点では、「笑う」という意味の単語を"smile"と"laugh"しか知らなかったのですが、プレイ中に、新たに"grin"と"giggle"を覚えることができました。これら2つの単語は、学校英語では登場しなかったように記憶していますが、ノベルゲーでは頻出のようです。

 

推定プレイ時間:10~50時間

 私の場合、プレイ時間は30時間弱でした。知らない単語や表現が出てくるたびに辞書を引いてはAnkiにぶち込む、という作業を繰り返しながらのこのプレイ時間ですので、私より英語力が高い人は10時間もあればクリアできるのではないでしょうか?

 一方で、このゲームはシナリオ上、2つの意味で「ハマってしまうと容易には抜け出せなくなる」箇所があります。そこでどれだけ時間をかけるかは人それぞれですので、大幅にプレイ時間が伸びる可能性はあるということで、推定プレイ時間に大きな幅を設けました。私は、○○○推しではないのでハマることはありませんでしたが。

 

よくない点

 これだけ世間で騒がれまくり、steamで「圧倒的に好評」評価なのを見ればわかるとおり、極めて満足感の高いゲームです。良かった点は後でゆっくり語るとして、良くなかった点について少しだけ記載をば。

 

パクリ問題

 このゲーム、仕掛けやシナリオ展開がモロに日本の某ゲームのパクリです。作者は公式でその件を否定していますが、残念ながら言い逃れはまず無理。詳しい内容についてはここには書きませんので、気になる方はネットで検索してください。

記号的&雑魚すぎるヒロインたち

 ヒロインたちは全員記号的で、どこにでもいるキャラです。本ゲームは後半面白い展開をしますが、それでもなおやはり記号的の域を出ておらず、「ひねった」キャラは皆無です。また、短編なことに加え、キャラより仕掛けに重きを置いているゲームであることも相まって、まるで20年前のギャルゲーのごとく簡単に主人公のことを好きになってしまうヒロインたちの雑魚ぶりにも、違和感を覚えるユーザーがいると思います。

 とはいえ、前段に関してはあくまでもノベルゲー先進国である日本人の目から見た場合であって、それほどノベルゲーが進化していない世界的な感覚からすれば、むしろそのわかりやすさが強みになっているとも言えるので、一概にこの点がマイナスだとは言えません。

 それと、この記号的で雑魚すぎるヒロインたちの設定は作者が意図的にそうしている可能性が高いです。それは物語後半の展開を見れば明らかで、作者はプログラムされたキャラがプログラム通りに主人公を好きになり、あらかじめ定められたエンディングを迎えるという、ギャルゲーのいわばアイデンティティそのものに問題を提起し、何なら嘲笑っているとさえ言えます。

 まあ、その問題提起だったり皮肉だったり嘲笑いだったりが本作品のメインディッシュでありながら、パクリ100%なところがバッシングを受ける原因なんですがね・・・。(○○の壁破壊という発想自体は、ノベルゲーに限らず、映画にも小説にもパクリ元以前からあったものなので、その部分については問題にしていません。あしからず)

 

おすすめな点

 とまあ、よくない点はこれくらいにして、次は良かった点について。

ちょうど良い必要語彙力

 上述したように、このゲームはそこそこの語彙力を求められます。しかし、英検1級レベルの単語はそれほど出てきませんし、何より舞台がどう見ても日本の学校です。よって、登場する英単語は、日本人なら学生時代に必ず触れてきた身近なモノとか感情とかに関するものが多く、「あ、この単語、英語ではこう言うのか!」という発見が多いです。"mean"って単語には「意地悪」って意味もあるのか!とか。

 ユリや後半のモニカが使う語彙には難しいものも多いですが、サヨリやナツキは平易な語彙を好んで用いますのでそこまで辞書頼りにはならないと思います。それでも1週目はツライかもしれませんが、周回プレイ前提のゲームですから、2週目以降は読む速度が上がりますし、復習しながら語彙を強化できますよ。

 ナツキのセリフで”like”が連発されるのに気づいた時は、「なるほど、この系統のキャラは海外ではこういう口癖で表現するのか!」という発見に、なんだか嬉しくなったりもしましたねー。彼女たちの掛け合い、特に中盤までのベタベタなラブコメ展開は、アニメに親しんだ日本人ならば誰でも理解できるのではないでしょうか。

 あと、ネイティブアメリカ人が作成しているのも良いところ。自然な英語で書かれているわけですし、ネイティブ特有のスラングも結構出てきます。

「これ、Distinctionでやったやつだ!!」って、何度もなりました。単語帳で出てきた表現と長文で出会うことで語彙が血肉になるのは黄金パターンですよね~。


 

↑Distinctionは1~4とSだけじゃなく、長文読解型単語帳である、この2000もおススメです。


 

↑パス単1級レベルの単語も、(特に後半は)登場します。でも、そこまでビビらなくても本作は読みこなせるかと。

単純に面白いし、完成度が極めて高い

 散々、パクリだパクリだとディスリましたが、作品の完成度で言えば本家本元の「ととの」よりも、本作の方が数倍上です。両方をプレイしたことのある人なら、その意味がわかると思います。

 いわば安全圏からシナリオを眺めていたプレイヤーが、ある瞬間から壊れた世界に強引に引きずり込まれ、彼我の境界があいまいになった場所で相手から強烈なラブコールを受ける展開は共通なものの、そこに至る過程(いわゆる2週目)においてのサプライズの数々は、本作プログラムチームの素晴らしい技術力のたまものでしょう。初見だと、本当に驚愕する場面が何度もあります

 この点、ゲーム自体がバグだらけで、もはや演出なのか本当のバグなのかわけがわからなくなっていたととのとにも見習ってほしいです。プレイに支障が出るレベルでしたからね、あれ。


 

 

↑こっちもまた、音楽も凄く良い!

 また、仕掛けの部分を置いておいたとしても、本作はノベルゲーにおける典型的なヒロイン像をしっかり揃えてきています。幼馴染キャラ、ツンデレキャラ、引っ込み思案キャラ、ヤンデレキャラ、委員長キャラ、、、。自分の性癖に刺さるキャラが最低1人は推しキャラが見つかることでしょう。

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↑私はツンデレのナツキ推し!

 それに加えて本作は、「一見○○に見えるキャラが実は△△だった」という、こういうノベルゲーにおける基本的なツイストを、ベタながらコンパクトにまとめています。そこに本作のモチーフである詩を絡め、詩の中に彼女らの真のキャラクターが表出するような演出にしているのが効果的です。典型的なお気楽キャラに見えるサヨリなんかは、この演出が特に生かされていると思います。

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↑目元に光るモノが。

 一方、短編であることも影響して、キャラクターについては描写不足で薄味に見えますが、そこが逆に想像の余地を生んでいるとも言える絶妙な塩梅です。この辺りについては、有料のドキドキ文芸部プラスで補完されていますので、興味ある方はぜひ。私は無料でやりたかったので未プレイです。


 

↑こちらは日本語版。

 周回前提のゲームでありながら、展開が目まぐるしくかわり、プレイヤーを飽きさせない工夫がなされているように思います。そして最後にはしっかりと感動もさせてくれ、綺麗で切ない余韻が残ります。同じテーマを扱った作品は、本作や「ととの」の他にも多数ありますが、この処理方法について、本作はパーフェクトな出来と言えるのではないでしょうか。

 

まとめ

 良い点悪い点いろいろありますけど、この作品単体で見たときのクオリティはどう考えても群を抜いて高いですし、このレベルの作品を無料で出されては「DDLC超おすすめ! つかプレイしてないとか人生損してる!」と言わざるを得ません。

 英語学習の一環として海外ゲームのプレイを考えている人、スリルを味わいながら物語にのめり込む体験をしたい方は、絶対にプレイするべき作品です。

ddlc.moe

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