作品紹介

学園都市である白巳津川市で、新海翔は普通の学生らしい平穏な生活を送っていたが、大地震で白蛇九十九神社の神器が壊れたことにより異世界と繋がってしまい、そこから流入したアーティファクトをきっかけに異能に目覚めたアーティファクトユーザーたちの巻き起こす数奇な運命に巻き込まれていく
初めてプレイする「ぱれっと」の作品です。
正直言うと、絵柄が可愛すぎて好みではないのですが、ちょうど今アニメ版が放映されていることもあり、物は試しと手に取ってみました。
今回は18禁パッチの取得に苦労しました。denpasoftは日本からだとVPN経由でしか接続できないのですが、VPNを経由すると、商品をカートに入れるところまではできても、その後の決済ができずに詰むんですよね。
ということで、ちょっと迂回してなんとか入手…したんですけどね、本作について言えば、18禁部分がシナリオ上それほど重要ではなかったので、結果的には苦労してまで入手する必要はなかったと思いました。この部分は残念です。
必要英語力など
推奨英語力:TOEIC860~、英検準1級~
さて本作ですが、日本発のノベルゲーの中ではかなり難しい部類です。シナリオが難解だからというわけではなく、凝った文法が多用されているわけでもないんですが、単純に日常シーンでチョイスされる単語や表現の中に、相当な頻度でネイティブのスラングが紛れているためです。過去いくつかの英語版日本産ノベルをプレイしてきましたが、本作はこの点において突出しています。
そのため、日本を含んだノンネイティブ圏で暮らしながら普通に英語を勉強をしてきた人にとっては、「単語は全部わかるのに意味が分からない」場面が続出するでしょう。ただ、場面からどういう流れなのか見失うことはないと思うので、そこは割り切って、どうしても気になる箇所以外はなんとなくで進めてしまうのもアリでしょう。
推定プレイ時間:15~20時間
本作は、4人いるヒロインのうちの1人にだけ焦点を当てた物語になっているため、それほど長いわけではありません。4人のルートを全て足し合わせると長編1作分になる、という感じでしょうか。
サクッと、とまではいかないにしても、短期間でプレイし終えることができますね。
よくない点
どんな作品でも、良い点と悪い点がありますからね。両論併記はさせていただきます。良かった点は後から書くとして、まずは悪かった点を。
翻訳の質が低い
正直、本作は英訳の質に少し疑問を覚えました。原文リスペクトをあまり感じないし、強い言い方しちゃうと、訳者さん、自分に酔ってませんか?って。

↑例えばこのシーン。原文は「もういい! バーカバーカ! 兄やんの母ちゃんデベソ!」ですが、英訳はもっと直接的な罵倒になっています…が、全然ダメ。
あのですね、ここは実の妹であるSoraが主人公を「お前の母ちゃんデベソ!」って罵倒してるシーンなんですよ。当然それは自身の母をもディスることになる、というギャグシーンなわけですよ。これを英語版は"You're a bastard!"なんていう捻りのない訳に変えちゃってる。そしてそのせいで、次の文章に意味が通じていないんです。

↑日本語版の「お前、いいのかそれ! 自分のおかんもディスってるぞ!」を直訳しちゃっています。しかし英語版だと直前のSoraのセリフにおかんが登場していないため、英語版だけ読むと意味不明ですよね。
なんでそんなことをしちゃうんでしょうか? 英語には、
"Your mom wears army boots!"という、古典的な有名セリフがあるにも拘わらず。私ならこの場面はこの訳語を当てていました。「お前の母ちゃんデベソ」も、リアルでは現代だと使わないいかにも昭和っぽい言い回しですよね? ちょうどそれに該当するのが、この"Your mom wears army boots!"なんですよ。これも現代だとほぼ使わないそうで、ニュアンスとしてピッタリじゃないですか。
こういう、悪い言い方をすれば「雑な」翻訳が随所に出て来る印象です。まあ、Soraのキャラがかなり特殊であの雰囲気を維持したまま翻訳することは相当難しいのはわかるのですが、それにしてもネイティブにしかわからないような言い回しを好むだけで、全編通してノンネイティブにとって優しくない翻訳ばかりが出て来る印象を受けました。 そもそも、英語版をプレイするのは、おそらくネイティブよりもノンネイティブの方が多いんですよ。だから、プロならその辺りの配慮はしないといけないのではないですかね。
これは想像ですが、この訳者の方、たぶん日本人じゃないと思います。日本語を少しだけかじっている英語ネイティブの方でしょう。だから日本語の機微がわからないまま、身勝手な訳語を当てはめて自由に訳しちゃっています。その結果、英語ネイティブのプレイヤーにとっては自然かもしれませんが、ノンネイティブにとっては難しい。そして原作からもかけ離れた訳になってしまっています。
私がプレイしてきた日本産ノベルの英語版の中で、過去イチ、ダメな訳でした。
おすすめな点
はい、よくない点はこれくらいにして、次は良かった点について。
高水準でまとまっている
本作は、シナリオ、CG、演技などが、すべて高水準でまとまっています。シナリオに関しては大きな物語の導入部にすぎず、ほとんど何の謎も解き明かされないまま続きが気になる終わり方をしています。そのため物語の盛り上がりに欠けるとも言えますが。
しかし、だからといって退屈なわけでもなく、昔のノベルゲーによくあった強制バッドエンドでプレイヤーの感情に訴えかけてくる手法やbranchの存在など、気になる要素が散りばめられていますし、メインヒロインであるMiyakoも正統派で声優さんも(私は知らない人でしたが)有名な方だそうで、実際にキャラに合った落ち着いた演技で、物語に調和していました。
音楽は、あまり好きじゃないタイプの曲もありましたが、酷いわけではないですし、好みの問題かと。緊迫したシーンや穏やかな日常で流れるBGMは良かったです。
おすすめ度
おススメ度は、10段階で7です。
シナリオが中途半端で終わってしまうので、本作単独でおすすめ度を出せと言われても難しいというのが正直なところです。現時点だと黒幕もわからず、事件すら解決せずで、ただ少し不思議な日常をヒロインと過ごすだけの話ですから。
4作の物語をすべて終えた後なら、導入部としての完成度はもっと高いという評価に変わる可能性がありますが、今のところはこれで。仮にもメインヒロインであるはずのMiyakoルートをこんなに起伏のない感じで終わらせてしまってもったいないなあ、という印象が強く、高いおすすめ度はつけられません。
直前にプレイしたサマポケの場合、「高評価の部分と低評価の部分とが混在する」からおススメ度7だったのですが↓
本作の場合は、全体的にソツはないものの、特筆すべきこともないので暫定で7という感じですね。
ネタバレ感想も、現時点では特に書きたいとは思わないのでなしで。
まとめ
あくまでもシナリオの導入部ということでこれ単体では評価のしようがないかなあ、という感じです。 「どこで終わってんねん」という消化不良のエンディングなので、続きを楽しんでいきたいと思います。
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