例によって弟夫婦から教職員に関係する制度について質問を受けたので、自分なりに調べてみました。「アイリスプラン」とかいうやつで、毎年秋頃にまとめて加入申し込みがあるようですね。
しかし結論は例によって加入価値なし。公務員の制度って一般貸付事業みたいな当たりもあるけど外れも多いんですね(^^;
アイリスプランは教職員のための経済支援事業
アイリスプランは、国立、公立、私立学校の教職員160万人の生涯生活設計支援のため、財団法人教職員生涯福祉財団を軸に、教職員の自助努力による経済生活支援事業です。
アイリスプランには、次の3つのコースがあります。
年金コース
医療・日常事故コース(平成29年3月より 傷害補償コースは、日常事故補償コースへ名称変更)
介護保障コース(平成22年4月以降 新規募集を停止)
(アイリスプラン|福祉事業|私学共済事業(共済業務)|私学事業団)
引用のとおり、アイリスプランというのは公立私立を問わず教職員が加入できる経済生活支援事業です。詳しいことまではわかりませんが、互助組合のようなものと考えて差し支えなさそうですね。
注意点として、これはあくまでも財団法人が運営している事業であって、共済組合自体の制度ではないということでしょうか。
で、コースが大きく2種類あって、「年金コース」と「医療・日常事故コース」。もうネーミングの時点で加入価値なし臭がプンプンしていますが(^^;弟からせっかくパンフレットをもらったので一応内容を読んでみました。
年金コース
特徴:
・毎月2,000円(2口)から積立を手軽に始められます。
・ライフプランにあわせて年に1回口数を変更できます。
・予定利率は年1.25%です。
・払い込んだ保険料は、「個年型」は個人年金保険料控除の対象に、「一般型」は一般の生命保険料控除の対象になります。
(パンフレットより引用)
重要な部分だけ目立たせていますが、これってつまり個人年金のことですね。しかも予定利率が1.25%ということは、さして民間のそれと違いありません。
↓の記事を読んでもらえば一目瞭然ですが、
1.個人年金ではあらゆる面でiDeCoには敵わないこと
2.年末調整時の個人保険料控除・生命保険料控除額は知れていること
などの理由により、個人年金を選ぶメリットなど存在しません。
これはアイリスプランだからというわけではなく、個人年金全般に言えることです。
年金コースは×。
医療・日常事故コース
・病気、ケガによる入院・手術・先進医療などに対応!
・日常生活で起こるさまざまなケガ・事故・賠償に!
(パンフレットより引用)
年金コースは検討余地すらありませんでしたが、医療・日常事故コースはどうでしょうか。このコースは厳密に言えばさらに2つのコースに分かれているため、それぞれについて考えてみます。
医療入院コース
・40歳以下の掛金に注目!
・先進医療特約など充実のオプション!
・退職しても満90歳まで契約更新できる!
(パンフレットより引用)
これはいわゆる入院保障です。売りは掛金の安さらしく、40歳以下の場合であれば月々の掛金1,192円で入院1日につき5,000円(ガン入院なら10,000円)、長期入院は一時金で15万円、特約として手術の種類により一時金で5~20万円、同じく特約として先進医療の自己負担分最高1,000万円分の保障がつくとのこと。
これも、私ならまず入りません。理由として共済組合には高額療養費制度があるため、入院になったとしても(差額ベッドと食事代はともかく)1か月間あたりの必要額は知れているためです。
入院保険に加入すれば絶対に入院せずに済むのなら喜んで入りますけどね(^^; 結局のところ入院保険の保障ってお金の保障にすぎないんですよ。であれば、最初から現金で備えておけばそれで十分。入院したとしても貯金で対応できますし、もし入院するようなことがなければ掛金分が浮くのでお得です。
これもまたアイリスプランがどうこうの話ではなく、入院保険というもの自体が不要だというのが私の取る立場です。ましてやアイリスプランは教職員という安定した収入を得られる人だけを対象とした制度なんですよ。仮に病気休暇に入ったとしてもしばらくは収入の保障があるんですから、民間人よりも入院保険の優先度合は低いと考えて良いでしょう。
というわけで医療入院コースも×。
日常事故補償コース
・個人賠償を1億円まで補償!
・自転車保険としても利用できます
・校舎内での階段・廊下でのケガは交通災害として手厚く補償
(パンフレットより引用)
これで最後ですね。これはいわゆる日常賠償保険と自転車保険の合体したような補償のようです。ユニークなのは交通災害のくだりですが・・・なんで公務災害じゃなくて交通災害なんだろ(^^; 別に通勤中じゃないのに。うーん??・・・わからん。
結論から言えば、このコースだけは加入価値アリだと思います。自分自身もそうなのですが、自分の配偶者や子どもまで保障対象に入っているのが大事なところ。
家族の誰かが自転車で他者を轢いてしまった際などの保障は、いくら保険不要論者の私でも必要だと考えています。それに代わる公的なセーフティネットが存在しないからです。
ただし。
それは裏を返せばアイリスプランよりも優れた同等品があるならそっちに入る方が良いことを意味します。
さて、アイリスプランの月々の掛金は、バリュープランで年間8,360円。配偶者・子どもは1人あたり7,800円。
・・・これ、日常賠償保険にしては異常なくらい高いですからね。
アイリスプランになんて入らなくても公立の教職員なら探せば良い保険は色々あるんです。
http://www.daikyosai.jp/zenkyo/life2016_mutual_aid.html←例えばこんなんで十分。
「総合共済」が月々600円、「くらしの賠償責任共済」が月々100円。これだけで自分自身に加えて配偶者と子供まで保障対象に入る上、「総合共済」の部分については退職時に全額戻って来るおまけがついているので、実質年間1,200円で家族分の個人賠償保険と自転車保険を兼ねることができます。値段が違いすぎてアイリスプランがぼったくり商品にしか思えませんw
いちおうフォローしておくなら、後者の商品だと交通災害については保障外のようですね。ただアイリスプランがカバーしているその点に関してはそもそもの価値が低いんですよ・・・。
だって学校教職員であれば(私立の先生は知りませんけど)、学校で何かあれば公務災害が適用され、その間どれだけ仕事を休んだとしても給料は全額保証されるんです。通勤中も同様。さすがに入院代までは出ませんが、それは上述したとおり共済組合の高額療養費があるので上限を超えて出費することにはなりません。
というわけで日常事故補償コースも×。
まとめ
アイリスプランは年金コース、医療・日常事故コースともに加入価値なし。こんなのに入るくらいなら、iDeCoとかもっと掛金の安い日常賠償保険とかに加入しましょう。
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