英語多読したり投資したりFIRE目指したり

30代からの投資でアーリーリタイアを目指す記録。日本に拘りはなし。

英語ゲーム多読の記録⑦【Salthe】日本の18禁ゲー

 

作品紹介

画像

 Saltheは、日本の新興アダルトゲームメーカーであるSoireeが2020年に発表した18禁ゲームです。Steamでは大人の事情で「そういう部分」はカットされているのですが、公式HPからパッチをダウンロードすれば、フルVerでプレイが可能です。そして個人的には、英語学習のためにもシナリオのためにも、18禁シーンありでプレイするべき作品だと思います。

 選択肢によって展開が変化し、バッドエンドに行きつくことも。基本的に凌辱や「痛い」シーンが多いのが特徴なので、苦手な人は注意が必要です。

 ↑守りたい! この笑顔!

 

 本作の特徴として、物語開始時点で主人公である王女の死は決定しています。道化役である"Kloun"の指示に従い、なぜ彼女は、自分が死ななければならなかったのかを、追想していく構成なんですね。死が確定している以上、悲劇から逃れることは不可能でです。とはいえ、本作のキーワードは、

 

Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in a long-shot.(人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である)

 

 という、有名なチャップリンの言葉です。彼女の死は本当に悲劇だったのか、それとも喜劇だったのか、はたまた見る角度によって変わるのか?

 物語序盤で、Klounが「これは喜劇だ」と断言していますので、まあ喜劇なんだろうとは思いながらも、必死にあがいて運命に立ち向かい、なんとしても生き返ってヴィスタ音楽祭の舞台に立とうとする彼女の姿を眺めることに。

 主人公は、王女ですが同時に劇団の看板女優でもあります。演劇要素もきっちりとストーリーに組み込まれて完成度は高く、よくできた短編だと思います。

 

必要英語力など

推奨英語力:TOEIC900~、英検1級~

 ゲームプレイ開始時点の私の英語力は、TOEIC905点でした(英検は受験歴なしですが、複数の語彙診断サイトで8,000語超の評価のため、準1級程度でしょう)。

 推奨英語力は、仮に日本語音声がついていなければ、メチャクチャに高いです。普通に勉強していたらまず聞かないであろう、高貴な表現や古典的・演劇的な言い回し、婉曲的な皮肉の応酬があるかと思えば、打って変わって18禁ならではの低俗な喋り方や卑語なんかがこれでもかと登場するので、現時点で私がプレイした作品の中で、一番難易度が高いまであります。

 とはいえ、日本語音声付きという補助がはやり強力にサポートしてくれるため、シナリオから脱落してしまうようなことはないででしょう。また、シナリオ自体も非常に面白いため、英検準1級くらいの力があれば頑張って食らいついていくことは可能だと思います。私自身がたぶんそれくらいの力でしたからね・・・マジできつかった。

 

推定プレイ時間:10時間程度

 選択肢はありますが、ほとんど一本道のノベルです(誤った選択肢を選ぶと即死)。日本語版であれば、たぶん5時間もかからず終わったと思われますが、英語版は私には難易度が高すぎたため、Ankiへ表現をぶち込んだり辞書を引いたりするために相当な時間を費やしています。

 ↑なお、誤りの選択肢にはKlounのマークがついているため、リョナが苦手な人やとにかく最速でエンディングまでたどり着きたい人は初見で、回避できるように配慮されています。

 

よくない点

 どんな作品でも、良い点と悪い点がありますからね。両論併記はさせていただきます。良かった点は後から書くとして、まずは悪かった点を。

 

日本語音声

 これは和ゲーの宿命ですよね。英語学習用としてとらえた場合、やはり音声が日本語なのは一長一短があります。実際には文法力が足りずに読めていないのに、耳から日本語訳が入ってきてしまうことによって、あたかも実力で会話文が読めちゃってるような気がしてしまうんですよね。残念、それは錯覚です。日本語音声に惑わされず、知らなかった表現はAnkiにぶち込むなりノートに書きとるなりして、地道に暗記しましょうね。

 

万人受けしない

 この作品は、人を選びます。

 そもそも18禁ですし、Hシーンも凌辱ばかりですし、選択肢を間違えると凌辱どころか拷問シーンに突入しますし、ストーリーに救いもない(ここは人によるかもしれないけど)し。

 なので、本作をプレイすることで嫌悪感を覚える人も少なからずいるでしょう。明るく楽しく英語を学びたいのであれば、わざわざこんなダークな作品に手を出す必要はないです。

 

 

おすすめな点

 とまあ、よくない点はこれくらいにして、次は良かった点について。

多彩なシチュエーションの語彙を一気に学べる

 このゲーム、非常にシチュエーションの振れ幅が広いです。主人公兼ヒロインのSaltheは王女ですので基本的に高貴な環境にいるのですが、相手次第で口調が大きく変わります。慇懃無礼な宰相相手には皮肉を言い合いますし、ゲスな男たちに犯されるシーンではお互いに汚い言葉で罵り合います。もちろん18禁語も多彩ですし、凌辱や拷問も多数出てきます。

 また、シナリオに演劇が大きく関わってくる関係上、現代では(おそらく)使用しないような古めかしかったり仰々しかったりする表現も頻発します。

 これらが読解難易度を爆上げしているのは間違いないのですが、逆に言えば、この作品を読み切ることができれば、相当な語彙力が身につくとも言えるでしょう。以下に、出てきた語彙の一部を紹介します。

 ※過激な画像注意

 

皮肉の表現

Pleased to make your acquintance.:以後、お見知りおきを。

You have such excellent taste in hobbies.:良い趣味してるわね。

My, how very harsh.:これはこれは、手厳しい。

Well then, I suppose this third wheel shall return to his stroll.:では、お邪魔虫は散策に戻るとしますかなあ。

That goes without saying.:ええ、あなたに言われなくとも。

 →Saltheと宰相であるGarnier、あるいはKlounとの会話は、こういう皮肉の応酬がデフォです。正直、レベルが高すぎて意味が分からないことが多かったです。日本語音声が救い。

 

芝居がかった表現

With aid Hades and the moonless night, come, let us be off.:地獄と闇夜の手を借りて、いざ行かん。

 →演劇のシーンは、このような古典語や、飾り立てた言葉が数多く登場します。どうですか? 日本語音声がついていなければ、私レベルではまったくもって意味不明でした。

May you touch the abyss which is the moment of your death.:君の死の瞬間、その深淵に触れるために。

Nay, I am thy faithful servant.:いいえ。私は忠実なるあなたさまのしもべ。

 

 

高貴な単語・表現

Royal Guard:近衛隊長

Highness:王女様(王女に限らず、位が高い人全般への呼びかけ)

retainer:臣下、 noble:貴族、 lackey:従者

heir to the throne:王位継承者戴冠

coronation ≒ accession:戴冠、即位

reinforcement:援軍(通常だと「補強」ですが、他国からの要請だとこうなるっぽい)

How shall we proceed?:いかがいたしましょうか?

 

汚いセリフ

Bich, you ignorin'me? You make me sick.:ちっ、無視かよ。感じ悪いなあ。

Heh heh, unfortunately, nobody's comin' for ya, Your Majesty.:へへっ、残念だが助けは来ないぜ王女様。

I didn't touch her mug, and it sure shut her up, didn't it?:顔じゃねえし、大人しくなったから良いだろ?

Shat up! I said behave! :うるせえ、大人しくしてろ!

 →behaveだけで「大人しくしてろ」になるんですね。

You, fucking little--!:(王女が、裏切った目下の人間に向かって)お前ーー!!

You... bastard!:この・・・ゲスがあ!

What a fukin' let-down.:なんだつまんねえ。

Don't make up such garbage.適当なことを言わないで。

ain't:じゃねえ。

 →男たちのセリフの中で、dosen'tの代わりにain'tが頻繁に用いられていました。こうすることで、「ない」ではなく「ねえ」というような、粗野な表現になるようです。

 

 

拷問のシーン

"Ngh!":あぐあっ! 兵士に殴られたSaltheの悲鳴。

"Eek!":ひいっ! 兵士に剣で脅された時の、息を飲むシーンで。

"Gwaaahh!? Nggh! Ahhh?!":体に杭を打ち込まれたシーンで。

"Look here! I can't get enough of this, I just can't!":見ろよ!たまんねえよ!すげえたまんねえ!

↑Don't you fuckin' bite it just yet, you got that? 日本語訳:そうら、まだ逝くんじゃねえぞ?

 →なんでこれでこんな訳になるのか全くわからん・・・。こんなん普通に英語の勉強してたら学ぶ機会なんてまずないですよね。

Hey, now, seriously, don't fuckin' kill her! It'll be a pain in the ass after!:おいおい、マジで殺すなよ! 後々めんどくせえぞ!

What the fuck do ya think you're doin'?!:ぼやぼやしてんじゃねえよ!

Ya need another lesson? :また痛い目に遭わないとわかんねえのか?

 →男たちのセリフでは、youがyaになってます。こうすると粗野なイメージになるのかな? なお、"lesson"で「痛い目」というのは、英語のハノンでも登場した表現。

18禁語

 また、18禁語も充実しています。

semen:ザーメン、 gastric juices:愛液、assault:(婉曲的に)レイプ

rear end:尻、 sock:包茎、 finger:(他動詞で)~を指でいじくる

pleasure myself:オナニーする、 get horny:(性的に)興奮する

concuvine:愛人、側室

fertile period:妊娠しやすい時期、 smegma:チ×カス

foreplay:前戯、 fondle / caress:愛撫する、 horny face:メス顔(欲情した顔)

service him with my mouth = blow job = gob job:(女性が男性に)口でする

creampie:(他動詞で)~に中出しする

Here it comes, here it comes!:(精液が)出る!

Shlurp, ngh! Geh-slurp! Gnnghggh!:喉を犯されてるシーンの擬音

 →一回目はshlurpだけど二回目はslurp。"slurp"は「すする」とか「吸う」とかですが、この単語自体が擬音語になるんですね~。

No...lick, lick,... Nn, rngh...:口でしている時の擬音。

 →ここもやはり"lick"「なめる」という単語自体が擬音扱いになっています。日本語とは感覚が違いますね。

Ueh! U-ungh! Mmmgh,ueeghh!:×××中の苦しそうな声

Stop, stop! You're too...rough! Agh, ungghheeh!:無理やりイカされかけてるシーン。

 

それらの複合表現

 さらに、ゲーム的に18禁シーンはその大半が凌辱シーンであるため、これらを組み合わせた表現まで大量に学べます。

You better suck it alllll down! Got it!?:おい、ちゃんと全部、飲み込めよ!?

 →”alllll"は原文ママ。こうやって強調するんですね!

Hey, don't fuckin' spit it out! I thought I told you to swallow!:おい、吐くんじゃねえよ! 全部飲めって言っただろ!

 →どうも、"fuckin'"という罵り言葉は、命令形の時に動詞の前につけるようです。

Keep suckin' just like that, Majesty!:その調子でしっかりしゃぶれよ王女様!

And keep squeesin' back here! Don't make me god damn off you!:こっちも気抜かずに絞れ!ぶっ殺すぞ!

 →セックス中に”back"を使うと、それだけで女性の×××を指すっぽい。"god damn"で「クソッタレ」、”off you"で「殺す」・・・かな? ちょっとどの単語で切れてるのかがイマイチよくわかりません。あと、全体的にing系を"in'"っと書いたり、aboutを'boutと書いたりすると、荒々しい感じになるのかな。

And don't even think about bitin'! Ya know what happens if ya do, eh?:

絶対に歯立てんなよ! んなことしたらどうなるかわかってんだろうなあ?

Her Hi'ghness's royal cunt is to die for! : お姫様の高貴な×××はサイコーだなあ!

Who'd've thought the day'd come when the princess'd be givin' me head!:まさか王女様に×××を咥えてもらう日が来るなんてなあ!  

Hey, feelin' sick, Your Majesty?:おい、王女様が吐きそうになってねえか?

 ↑守りたい、この・・・あれ。

演出面の強さ

 主人公でありヒロインであるSaltheが、非業の死を遂げた自分の人生を、観客であるプレイヤーに向けて再度演じながら、その死の真相を探るというのがメインシナリオであることから、本作品は、基本的に「演劇」として語られます。

 ↑4人の人物が、それぞれ殺したい人物を胸に秘めています。これは物語開始から20分程度の場面ですが、ここまでの演出が素晴らしく、私はすでに物語に引き込まれています。

 ↑単なるモブキャラに犯され、後は壊れていくだけかと思われたSalthe。しかし、ここで「自分はどれだけ汚されようと自分」という決意を思い出します。そのシーンで初めてプレイヤーに提示される、たった1つの選択肢。これは素晴らしい演出。ここからしばらくはSaltheのターン!・・・だったら良かったのに

 この後の、冒頭で示された鉄の処女拷問からのオープニングへの流れも、非常に秀逸。プレイヤーはどんどんストーリーに引き込まれていきます。

 

完成度の高さ

 本作は、極めて完成度が高いです。

 まずシナリオ。短編であることを差し引いてもつじつまが合っています。相当数の謎はちりばめられているものの、回収されなかった伏線はおそらくありません。無駄なシーンが一切なく、全てのシナリオは「ストーリー上意味があるシーン」「凌辱シーン」「拷問シーン」の3種類のいずれかに当てはまります。

 次に、とにかく絵が美麗です。1枚絵だけでなく立ち絵も素晴らしいし、拷問シーンや凌辱シーンもありますがそのあたりは割とソフトですので、ライトユーザーでも多分耐えられるでしょう。

 さらに、声優さんが本当にすごい。特にSalthe役の声優さんの演技はとんでもないレベルで、もはや独断場と言っても過言じゃありません。ただ相当気合が入っているので、悲鳴を上げるシーンは相当に痛々しいですよ💦 そこだけご注意。

 

 

おすすめ度

 おススメ度は、10段階でです。

 あまりにも完成度が高いため、10をつけようかと思ったほどです。ミステリ的なツイストも綺麗ですし、リーダビリティも高いです。ダークな雰囲気に抵抗がない人であれば、プレイして損することはないでしょう。

 それでも1点マイナスにさせてもらったのは、ネタバレ感想で後述しますが、自分にとってこの物語はどうしても「喜劇」とは思えなかったためです。本作、「この物語は喜劇ですよ~」と随所でプレイヤーに刷り込んで来るのですが、それがどうにも納得できませんでしたので、満点をつけるのは無理でした💦いわばレギュレーション違反です。

 

ネタバレ感想

 ※ここから先は、思いっきりネタバレしています。未プレイの方はご注意。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このゲーム、1幕目は必ずバッドエンドになります。

 自分を輪姦した男のうちの1人の×××を嚙み切った腹いせに、鉄の処女に掛けられて殺害されるという終わり方。しかし、この時点では何の謎も解決されません。そこから、第2幕、第3幕、と物語が展開されるにしたがって情報が小出しにされ、最終幕となる第4幕で真相が明らかになるという構成です。

 以下は、私が攻略中にリアルタイムで抱いた疑問と予想を書き留めたものです。思いっきりネタバレしていますので注意。

 

第1幕終了時点での疑問

・仮にも王女をモブキャラにレイプさせたり殺させたりするか?
・なぜ住民たちは王女が生きていると知っているのか?

 →生きていることは知っているのに、捕らえられていることまでは知らないって、どういう状況だ?
・住民たちの「街は無事だった」と、男たちの「住民はイズールに忠誠を誓った」とは矛盾するが、なぜか?

 →王女をいたぶるために、男たちが嘘をついているのか?
・王女が捕らえられている部屋は、どこなのか?

 →城の一室だとすると、他国の兵士たちが城の内情に詳しすぎやしないか?
・Klounの正体は?仮面の意味は?

 →正体は、そもそも重要なのか? 仮面は、「本当の自分を偽っている」ことのメタファーだろうなあ。

 少し思いつくだけでも、これくらいの疑問は出てきます。

第2幕終了時点での疑問

 ・なぜMarieからもらったお守りを、Saltheは自室ではなく地下室の引き出しなんかに隠していたのか。

 ・夢の中でのSaltheの豹変は、なんなのか。

 →声優さんの凄まじい演技のおかげで鳥肌が立つほど衝撃的・・・。魅入ってしまった。

 →Saltheが2人いる説を思いつく。ただ、そうだとしても今までプレイヤーが動かしてきた方のSaltheが果たして悪辣な方のSaltheなのかどうかはこの時点ではなんとも不明。

第3幕終了時点での疑問

・蹄鉄と同様、なぜ首輪は地下室にあったのか?
・王女がある日から突然演技がうまくなった理由は?その際の「どんな手を使っても」という独り言の真意は?
→こうなると、「Saltheはもう1人いる」をほぼ確信。演技が上手いサルテと凡庸なサルテ。気高いサルテと悪辣なサルテ。1人は地下室に住んでたんじゃないのかな?だから蹄鉄も首輪も地下に。ということは、犬を大切にしていたのは地下室に住んでいた方のSaltheで、プレイヤーが動かしている方のSaltheは悪辣な方ということになる。しかし本人にその自覚がないのは、死のショックで忘れているから?もう1人のSaltheの性格を「演じて」いるから?演劇祭に出る時だけ演劇の上手いもう1人のSaltheと入れ替わっていた?今回の演劇祭を最後にSalthe引退する理由は、もう出られない=もう1人のSaltheはすでに死んでるから?
MarieはSaltheが2人いることを知らない?そういえば、サルテのことをはっきり「サルテ」と呼んだことのあるキャラはいたっけ?ジャンは呼んでたような…。他のキャラは「王女様」とか「サーちゃん」って呼んでるよね?

 

 なら、こういうことか?

 

 本物のSalthe(以下、SaltheA)は王女で、心優しいけど演技が平凡だった。一方、偽物のSalthe(以下、SaltheB。SaltheAの双子=影武者)は、地下室に軟禁されており犬を虐めるような糞女だけど演技だけは天才的。SaltheAは、演劇の時だけSaltheBに入れ替わりを頼んでいた。しかしある日、SaltheBはSaltheAを地下室に閉じ込め、SaltheAに成り代わってしまう。SaltheBにとってはゴミにすぎない蹄鉄や首輪は、その際に一緒に地下室に捨てた。後はその天才的な演技力で、自らがSaltheAとして振る舞い始める。SaltheAになりきったSaltheBは、心から自分をSaltheAだと思い込むようになり、SaltheBだった頃の記憶を忘れてしまう。

 ↑SaltheBは、SalomeAの傀儡であり、影だったというのが、私の予想。

→ただ、それだと今回で演技をやめる理由がわからないな。まあ実際、真相は全然違ったんですけどね!

第3幕~第4幕幕間

 ・"Salome"という女性に「愛してる」と告げるJean。

 →サロメなら「サーちゃん」とも呼べるすし、これがもう1人のSaltheでほぼ間違いない。ただ、よりにもよって「サロメ」という名前を使うか。こうなると、苛烈なのはSaltheではなくSalomeの方なのか? いや、それさえも名前の印象を利用したミスリードか?

 ・Garnierと密会するSalthe。何か物騒な話をしていますが、何のことだか・・・。

 

第4幕終了時点での疑問と明かされた一部の謎

 ・SaltheはSalomeの存在を忘れている。が、城から脱出した彼女を目の前にした際、「あいつを殺さなければならない」という強い殺意だけは残っており、蹄鉄を使って殺害。

 ・裏切者はGarnier。Saltheを殺害したのもGarnier。

 ・Jeanは生きており、残兵とともにMersinを奪還しに来ている。しかし、生きているSaltheを発見した彼は、Saltheを「裏切者」と叫び、切り捨てる。

 ・Saltheの仮面の下には、醜いアザがあった。

 

 

終幕で明かされた真相

 ・・・と、ある程度推理しながら読み進めていったのですが、真相は予想以上に胸糞悪いものでした。

 以下、今度こそ結末に関わる詳細なネタバレを含みます。注意!

 

幼少期

 ・Saltheは王女ではなく、実の母に捨てられた捨て子。森でさまよっていたところをMarieによって拾われ、Salubrun(サン)という名前を付けられる。

 ・Mersinの王女はSaltheではなく、Salome。従者とはぐれてたまたま見つけた教会で、Marie&Saltheと出会い、仲良くなる。

 ・SalubrunとSalomeは瓜二つであったため、「影」として王宮に引き取られ、同時に"Salthe"の名が与えられた。「お前に過去はない」というGarnierの命令により、SaltheはSalubrunの頃や、それ以前の記憶を忘れる。

 ・その際、MarieからSalubrunへ贈られたのが、蹄鉄。

 ・Saltheは厳しい指導を経て、順調に「王女」としてのふるまいを身に着ける。

 

青年期

 ・Salomeはジコチュー100%な女でSaltheに暴言を吐くこともあるが、周りはそんな王女に目をつぶっている。

 ・Salomeは劇団に所属しており、Saltheも「影」として演技の指導を受ける。Saltheは徐々に演技の魅力にのめり込んでいく。

 ・本当の王女であるSalomeに演技の才能はなかった。どころか、勉学の才も、運動の才も、マナーの才能すらなかった。すべてにおいてSaltheがSalomeを超えていた。

 ・Jeanもまた孤児で、実力で近衛隊長まで上り詰めたが、そのために周りから疎まれていた。SaltheはそんなJeanに惹かれていた。が、JeanはすでにSalomeのもの。

 ・Salomeは"無能"かつ"ガキ"なため、Garnierは彼女を相手にしなかった。一方、Saltheのことは「影で終わる器ではない」と高く評価していた。

 ・そして、演劇祭本番の自分の代役に、Saltheを立たせようとするSalome。自分よりもSaltheの方が上だと内心では認めざるを得ないようだ。

 ・結果、"Heroine's Award"を受賞してしまうSalthe。それにブチ切れるSalome。こんな賞を取ってしまっては、もう自分は二度と舞台に立てないではないかと。そして、以降の舞台は全てSaltheが勤めることになる。

 ・SaltheとSalomeの溝は深まり、Saltheは軟禁部屋へと追いやられてしまう。

 ・Jeanと肉体関係を持った翌日、「自分は処女ではなくなったのに、影が処女なのはおかしい」との理由で、Saltheを火掻き棒で貫くSalome。そこからはタガが外れたように、SalomeはSaltheを犬扱いし始める。床にまき散らした食事を食べさせたり、裸で廊下を歩かせたり、果てはモブにSaltheを犯させまくったり。

 ・さらにSalomeはSaltheへの嫌がらせのため、Marieの教会への援助を打ち切り、孤児たちを残忍な貴族等へ売り払った上、その末路を記載した手紙をMarieの元へ送り付ける手はずまで整えていた。

 ・もはや、Salomeだけでなく王国幹部自体が腐っていたことが判明。

 ・ここで、SaltheはついにSalomeを許さないことを決める。「次の演劇祭の場において、自分がSalomeではなくその影であることを暴露する」ことで、Mersinの権威を地に堕とす計画。自らはMarieや他の孤児と共に、Gwenoleへ亡命するという。

 ・そんなある日、Garnierは国にクーデターを起こす計画をSaltheに告げる。Mersinは腐ってしまったと。手を組みたいというGarnierの提案を受け入れるSalthe。受け入れなかった場合、クーデターによって大事な演劇祭が潰されてしまう恐れがあったためだ。

 ・夜ごと、Garnierの部屋に通い、計画を共有する2人。もちろんセックス付きで。

 ・演劇祭をもって女優を引退すると宣言したSaltheに激怒し、顔に焼けた蹄鉄を押し付けるSalome。顔には火傷の跡が残り、もはや影として機能しなくなったSalthe。

 ・お膳立てはしたのだから確実にSalomeおよび陛下を殺せと、Saltheに告げるGarnier。

 ・予定よりも、Izelの侵攻が数日早まったというGarnier。Saltheの要望どおり、演劇祭より早まることはないと言うが・・・。

 ・結局、そんなことはなくIzelの侵攻は演劇祭よりも早まり、後は第1幕以降で語られたとおり。ただし、実際に凌辱されたのはSaltheではなくSalomeで、Saltheは自室となっていた軟禁部屋で事の成り行きを見守るのみ。

 ・Salomeが囚われたことで、Saltheの計画も瓦解。ただ、「面白いものを見せてやる」とのIzel兵の声についていくと、そこには凌辱されているSalomeの姿が。自然とこぼれる笑み。Salomeを蹴り飛ばすSalthe。壊れたように笑いながら、Salomeを殴打しまくるSalthe。

 ・その後、Garnierに裏切られたことを知ったSaltheは、Salomeと同様に凌辱され続け・・・第4幕で演じたとおりにSalomeを殺害。その後、国を裏切ったとしてJeanに殺害される。

 

この物語は本当に喜劇なのか?

 このゲーム、Saltheはずっと、Mersinの気高い王女として国を守るために振舞います。しかし実はMersinは守る価値もない腐った者どもが治めている国で、しかもSalthe自身王女でもなんでもない、単なる影だったわけですね。そして、決意を胸に生き返った矢先に、男性の中で唯一信頼していたJeanによって裏切者扱いされて殺されるという。

 王女としての役に酔う、哀れな道化の物語。それは確かに滑稽でした。

 ただ、

 私にはそんな簡単にこれを「喜劇」と割り切ることはできませんでしたね・・・。どうしても悲劇性が勝ってしまう。

 ↑守りたかった、この笑顔。なお・・・。

 

 一応、この後申し訳程度に、Saltheが実は内心Marieを見下していたり、Jeanを利用しているだけだったりという独白が出てくるんですが、今さらそれを聞かされても特に心は動かないよねって。

 だって、自分的にはあの2人の方がSaltheよりもずっと嫌だから。Marieは信じられないほど愚かな女だし、Jeanは女性の前で良い恰好をしたいだけの浅薄な男だし。

 

読後感は意外にもスッキリ

 とはいえ、驚くほど読後感はスッキリしてるんですよね。これは単純に、「ザマぁ!」って感じになりますもんね。

 ↑この時点では、恥ずかしながら見事に読み違えています。

 ヘイトを溜めに溜めまくったSalomeがモブやSaltheに凌辱されるシーンは、不快になるどころかむしろ溜飲が下がる人が多いかと。

 

まとめ

 ダークな雰囲気の良質な短編です。

 内容が内容だけに人を選びはしますが、間違いなく完成度の高い一品ですので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。

 

 

 ↓クリックしていただけると非常に励みになります!

人気ブログランキング