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30代からの投資でアーリーリタイアを目指す記録。日本に拘りはなし。

標準報酬月額を制すれば手取りが増える!

 

※断っておきますが、今回の記事は制度上そうなっていることを示しているだけであって、決して残業時間数を不正に申請することを促す目的で書いているわけではありません

 

はじめに

 突然ですが、クイズです。

 給与月額(総額)が289,999円の人と290,000円の人とで、厚生年金や社会保険料の掛金額は同じでしょうか? 異なるでしょうか?

 同様に、290,000円の人と309,999円の人ととではどうでしょうか?

 

 正解は、前者は異なり、後者は同じです。社会保険や厚生年金の掛け金額は、給与に比例するわけではないのです。

 

 

掛金は標準報酬月額に依存する

 まずは下の図を見てください。

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 これは協会けんぽが公開している「標準報酬月額表」を抜粋したものです。

 我々会社員の給与から天引きされる社会保険料や厚生年金の掛け金額は、この表の列ど真ん中にある「標準報酬月額・・・その人の4月~6月の給与総額の平均(通勤手当含む)」に依存しているのです。

 

 この金額が高くなれば毎月の掛金が連動して上がり、低くなれば連動して下がるわけです。そして赤枠で囲った部分を見ると、標準報酬月額が270,000円以上290,000円未満の場合と290,000円以上310,000円未満の場合とで、掛金額が異なることがわかります。

 この壁は非常に厳密なもので、たった1円でも超えれば掛金額は次の階級に上がってしまいます。これが冒頭のクイズの答えです。

 

 まさにボクサーの軽量並みの厳しさ!!

 

 

 

基本的には標準報酬月額は低く抑えた方が良い(と私は思います)

 このようにある程度幅を持った階段状になってはいるものの、基本的に標準報酬月額が高くなれば毎月の厚生年金・社会保険の掛金は連動して上がります。よって、標準報酬月額はできる限り低く抑えた方が得になるのは会社員をしていれば自然と耳に入って来るところかと思います。

 いちおう掛金が高くなればその分将来にもらえる年金額も増えますが、自分が何歳まで生きられるのかがわからない以上、掛金を安く抑えて毎月の余剰を貯蓄や投資に回した方が良いでしょう。

「いや、自分はめちゃくちゃ長生きするからあえて今のうちに沢山払っておく!」というのであれば、別にそれもアリです(^^; 先のことは誰にもわかりませんから。

 

 

標準報酬月額が1等級上がると年金はどれだけ上がる?

 では、標準報酬月額が1階級上がることで将来の年金額がどう変動するかを計算してみましょう。

【例】

①18等級|給与:270,000円以上290,000円未満|標準報酬月額280,000円
②19等級|給与:290,000円以上310,000円未満|標準報酬月額300,000円

 

 条件は同じ等級で40年間厚生年金加入したものとします。
 単純化するためにボーナスは考慮に入れず、 計算の条率は1000分の7.125のみを使用。 比較するだけなので、極めて単純な計算です。

 

①18等級|280,000円 の場合
 →280,000円×7.125/1000×40年(480月)=957,600円

②19等級|300,000円 の場合
 →300,000円×7.125/1000×40年(480月)=1,026,000円

 

 その差、68,400円

 このように、標準報酬月額1等級の差が40年間続いた場合、将来受給できる年金額は年間およそ7万円の差が出ることがわかります。

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  一方で↑の標準報酬月額表(再掲)より、1等級上がると健康保険+介護保険(40歳以上)+厚生年金の掛金額は1月あたりおよそ3,000円増えることがわかります。

 ということは、年間で3万6千円の差。

 

 40年間掛けた場合の受給額が年間7万円の差で掛金が3万6千円の差なのですから、元を取ろうと思えば最低でも年金受給開始から20年を超えて長生きする必要がありますね。65歳支給開始であれば85歳です。男性の平均寿命は平成29年で81.09歳なので、平均以上に長生きすることは必須です。

 それだけ生きる自信がないのであれば、やはり標準報酬月額は可能な限り低く抑えた方が無難だということになります。

 

 

標準報酬月額が高い方が得する場合(例外)

 ただし例外的に、標準報酬月額が高い方が明らかに得する場面も存在します。

 代表的なものとして、育児休業手当金は標準報酬月額に依存します。よって妊娠が発覚した場合はしばらく残業を多めに行い、随時改定による標準報酬月額アップを狙うのがお得になります。とはいえお腹に赤ん坊がいるのに働きづめになって体に負担をかけてしまっては元も子もないので実践する価値があるかは「?」ですね(^^;

 同様に病気休職の場合に支給される傷病手当金も標準報酬月額で決まりますが、こちらも身体的な病気・精神的な病気にかかわらず狙って残業量を増やすのはおススメできません。

 

  結局、狙ってどうにかなるものではないと思いますね。

 

 

 

どうやっても次の階級に上がってしまう場合

 本記事のハイライトはこの項目です。

 

 まずは私事ですが、ラッキーなことに少しですが来年度も昇給することが決定しました。そして総務課在籍の私には、幸か不幸かその昇給幅がどの程度のものなのかもすぐに知れるのです(目標の2%アップには達せず! 残念!)。昇給に加えて年末に子供が生まれたことにより現在は扶養手当が付いているため、去年と比較した場合の4~6月の給与総額は昇給分以上に増えることになります。

 

 ここが重要なポイントなのですが、今回の昇給+扶養手当の支給により、私の来年9月以降の標準報酬月額は現在の300,000円から320,000円に引き上がることが確定しました。4月に通勤手当が出るせいで、仮に4~6月の残業代が0円だったとしても平均給与額が310,000円の壁をわずかに上回ってしまい、掛金アップを避けることができなくなってしまったのです。

標準報酬月額表

 こういう場合の対処法ですが、もう開き直って4~6月の給料を320,000円の壁ギリギリまで増やしてしまう方が得になります。自分の過去の残業代から勤務一時間あたりの残業代は算出できますので(昇給分に注意)、標準報酬月額が次の階級にギリギリ上がらない程度に月々の残業時間を抑えることにより、掛金額に対して最大の手取りを得ることが可能になるわけです。

 

 私の場合だと次の4~6月の平均見込み給与総額は、残業代なしで311,000円くらいです。上の表を見ると、330,000円未満であれば標準報酬月額は同じ=掛金額は変わらないことがわかるので、3~5月の残業時間を平均19,000円未満に調節してやれば良いのですね。

 勤務一時間当たりの私の残業代は現在およそ2,250円です。ここに昇給分を加味したとても、1ヵ月あたり8時間までは残業を付けても標準報酬月額は上がらないことがわかります。

 

 

 

まとめ

・社会保険の掛金額は標準報酬月額に依存する 

・標準報酬月額は幅のある階段状になっている

・標準報酬月額は原則として低い方が得

・標準報酬月額の壁を利用することで手取り額を増やすことが可能!

 

 ※冒頭でも書きましたが、本記事は決して残業時間数を不正に申請することを促す目的で書いているわけではありません。カラ残業で残業代を水増しするのは論外です。きちんとルールに乗っ取って仕事をしましょう。

 

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