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30代からの投資でアーリーリタイアを目指す記録。日本に拘りはなし。

誤解する人多そう・・・。『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』(穂高 唯希(著))

本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私 ...

日本で初めてのFIRE本が登場!!

 穂高 唯希さんの書かれた『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』を読了。


 

 最初に書きますが、私は本書を相当良い本だと思いました。FIREを達成した方による日本初の本だというだけで価値がありますし、投資手法の解説に終始するのではなくそれを「手段」だと言い切り、より良い人生を生きるためにどうすべきかという点まで踏み込んで書かれている点も素晴らしい。

 

 ただ、採用している手法が高配当株投資であること、著者のスペックが一般人に比べて高すぎること、著者の節約(支出の最適化)が常軌を逸している(誉め言葉)ことなどが相まって、正当に評価されるかどうかわからないんですよね。

 

読んだ人がしそうな誤解

 というわけで、本書を読むにあたって注意点が2つほどあると感じたので列挙しておきます。

1.高配当株最強!!

 投資初心者が陥りがちな誤解ですが、そんなわけありません。高配当株投資はアクティブ投資ですのでほとんどの確率でインデックス投資に負けますし、自動的に分配金が再投資される投資信託等と比較して税金面で不利なのも周知の事実です。そしていくら高配当と言っても減配は起こり得ますし、個別株ですから最悪の場合は投資先企業が倒産して株が紙切れになるリスクさえあります。その割にポートフォリオ管理は大変ですし、配当金を手動で再投資する手間までかかります。

 

 ほら、こんなもん最強なわけないですよ(^^; 高配当株なんてやらずにインデックス投資をやっていればこれらの問題は一気に解決した上に資産も限りなく最大化できるんですからね。

 

 ・・・とまあ高配当株投資をボロクソ書きましたけど、他ならぬ著者自身がそんなこと百も承知なのは本書を読めば誰でもわかる話で、結局目的によって最適な投資手法は変わるというだけのことです。著者の場合はFIREするために最適なのがたまたま高配当株投資だったということでしょう。

 

 で、私事です。

 私の場合は著者と同じくメインの投資目的がアーリーリタイアですので資産の最大化より配当金の額の方が数倍大事です。よってインデックス運用を主軸にしたいとは思いません(ただし積立NISAとiDeCoについては目的が人生の特定時期における資産最大化なので例外的にインデックス運用を採用しています)。

 だってほら、死ぬときにいくらお金持っててもしょうがないじゃないですか。どういう投資手法を取ろうが一定以上の資産が確保できることが分かっているなら、資産の最大化なんかに拘る必要はなく、人生をどう豊かに生きるかに腐心した方が建設的だと思います。

 

 それと、もしもインデックス投資を主軸にして早期退職した場合、出口戦略として

 ①4%ルールを適用して取り崩す

 ②売却して高配当株に替え、配当金を得る

のいずれかを迫られることになりますが、①は市場暴落時に私の豆腐メンタルが保つと到底思えませんので却下。②も適切なタイミングで実行できなければ結局最初から高配当株投資していた方が得だったなんてことになりかねませんから、やっぱり却下。

 このように、私の場合は出口という取り返しのつかない場面で重圧のかかる選択を回避したいこともあり、最初から高配当株投資を選択したわけです。

 

 裏を返せば、そういう特殊な考え方の持ち主でもなければ高配当株投資じゃなくインデックス投資も検討すべきです。というか、迷うならインデックス投資にしておきましょう。

 

2.高収入じゃないとFIREなんて無理

 これもありそうな誤解。

 本書は高配当株投資の体裁を取ってはいますが、「核」は投資法ではありません。

「著者みたいに高収入じゃない自分には高配当株でFIREなんて実現できない! 給料の8割を投資に回すなんて無理! こんなの再現性がない!」という意見を言う人がいれば、それは本書の要旨を捉え違えています。

 

 私も決して高収入ではありませんし子どももいます。しかしそれでも定年より10年ほど早い、今から20年後には夫婦そろってアーリーリタイアできる目途が経っています。それもまさに著者の提唱する高配当株投資を主軸にして。

 では我が家がなぜアーリーリタイア可能かと言えば、著者の提唱するところの「節約14選」のうちの8選をピックアップして実践している他、自分たちでも能動的に支出最適化にかかる情報を取得して無理ない範囲で固定支出を減らしているからです。さらにブログ等で収入を上乗せし、時には投機も活用することで高配当株購入資金を確保しています。 

www.midorineko.work

  

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 そしてこれが一番大事なのですが、我が家は私と妻の目標が一致しています。著者の唱える節約14選の中で一番難易度が高いのって、どう考えても「彼女や彼氏とのデートは、公園で手作り弁当ピクニック」でしょう? だって他は自分のマインドを変えれば良いですけど(それも難しいけど)、この項目に至っては他者のマインドまで変えないといけませんからね。

 

 というか、著者も別に最初からそこまで徹底していたわけではないでしょう。それぞれのパートナーとお互いが時間を共有する中で徐々に価値観をすり合わせ、

「人生を豊かにするためにはお金より時間の方が大切だよね? だから時短家電は積極的に買おうよ。でもブランド品はどうだろう? 本当に必要だろうか。じゃあ車は?」

 ・・・なんていう対話を繰り返した先に至ったのがこの境地なんじゃないのかと思うんですよ。

 ちゃんと相手のことを見ていなければ、それこそお金ばかり見ているたらこんな異常な(誉め言葉ですw)支出最適化の頂きにパートナーと一緒に到達することなんてできるはずがない。

 

 このように、本書の核は投資手法ではなく「マインド」なんです。

 

 高収入だろうが支出管理も資産形成もできず、資産がない人なんて腐るほどいます。逆に普通のサラリーマン世帯であっても、真面目に収入を増やし、真面目に支出を減らし、真面目に資産運用すれば、時間はかかったとしてもアーリーリタイアは可能です。

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 ↑このように、新卒から毎月10万円を5%複利で再投資し続ければ、50歳頃には著者と同じだけの資産を得てリタイアすることが可能。これのどこが再現性がないのか不思議です。
 

 ・・・え? 著者は30代でリタイアしてるんだから50歳で実現するのとは話が違う?

 

 ならもう一つ。

 再現性がないという批判をする人は、自分には著者の真似ができないことを理解しているはず。私はそういう人を見ると、しょうもない言い訳してないで収入を上げる努力か支出を下げる努力でもすればどうなの? と至極当然の疑問がわくんですよね。配偶者がいるなら共働きを提案するとか、家計管理について話し合うとか、色々やれることあるでしょ。話し合いすらできないのなら、それはその配偶者を選択した貴方に責任があるんですよ。

 別に著者ほど徹底しなくても(あれは異常ですw しつこいですが誉め言葉ですよ(^^;)、QOLを下げない範囲で何も模索できないなんてことはないはずです。

 

 amazonのレビューを見る限り、著者の言うところの「貧乏マインド」を治すところから始めた方が良い人は沢山居るようです。そろそろ「必殺☆他人のせい」は辞めませんか? クソダサい投資家じゃないんだから。

 

転用 ~本書を読んで自分はどうする?~

 著者のブログを日ごろから読ませていただいていることもあり、本書自体から新しい知見を得ることは特段ありませんでした(ブログから得たものはとても沢山ありました)。


 あえて言うなら、本書最終盤に出てくる

資産形成、そしてお金というのは、あくまで目的でなく手段であって、それ以上でも以下でもないということです。

 この文章を改めて自分事として捉え、家族にとっての幸せとは何かを考え直すきっかけにできたかな、というところです。

 

 以上、今回は『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』をご紹介いたしました。ご参考になれば幸いです。


 

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